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衆院選の勝敗と菅首相の去就を左右する秋の政局「3つのシナリオ」
「仕事師内閣」だったはずなのに
昨年夏の突然の安倍首相退陣を受けて発足した菅政権は、「仕事師内閣」としてデジタル庁創設や携帯電話料金引き下げなどの政策を断行し、コロナ禍に打ち勝った象徴として五輪を成功させ、総選挙に勝利する戦略をとってきたとされる。しかし、ワクチン接種の進展によるコロナ禍の沈静化と五輪の盛り上がりは期待通りに行かなかった。
確かにワクチンを2回打った「接種率」は全国民の39.3%で、一つの目安とされた「4割」に到達しつつあり、65歳以上の高齢者に限ると85.1%に達している(いずれも内閣官房8月19日公表値)。しかし、「デルタ株」など、これまでより感染力が高く、ワクチンの効果を低下させる効果があると言われている「変異株」の感染が爆発しており、連日のように感染確認者数が過去最大を更新したというニュースが流れている。新型コロナの沈静化にはほど遠いのが実情だ。軽症者を原則的に自宅療養に切り替える療養方針の転換も大きな批判を浴びた。
五輪では、日本代表選手の活躍が国民を沸かせた。開会式の世帯平均視聴率は56.4%、閉会式で46.7%(いずれも関東地区のビデオリサーチ調査結果)に達したが、政権支持率の向上にはつながっていない。コロナ禍での無観客開催や大会関係人事や演出の混乱に対する失望、スポーツの政治利用に対する冷ややかな視線もあろう。開会式では、天皇陛下の開会宣言が始まっているにも関わらず首相が起立しておらず、小池百合子東京都知事に促されるような形で立ち上がる姿も映し出された。長すぎるバッハIOC会長のスピーチの後で「予定されていたアナウンスが流れなかった」として組織委員会が後日謝罪したが、このアクシデントを含めて開会式をリアルタイムで視聴していた人数は、全国で実に約7000万人を超えると推計されている。
菅首相はその後、「抗体カクテル療法」を実施している品川プリンスホテル内療養施設を視察し、広報的な観点からのイメージ挽回策を積極的に取ろうとしているように思える。しかし他方で、広島の平和記念式典での原稿読み飛ばし、長崎での遅刻に加えて、17日の記者会見では「感染拡大を最優先」と言い間違えるなど、体調を不安視させる事例も頻発するようになってきた。
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