アングル:トランプ米大統領の就任後100日、深まる混迷

トランプ米大統領(写真)は就任後100日で、貿易相手国に対して前例のない規模の関税を課して貿易戦争の火ぶたを切り、米国の対外援助を削減し、ウクライナでの戦闘を巡っては侵攻したロシアの和平案の肩を持つなどして混迷を深めている。写真は、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談。2月28日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Matt Spetalnick John Geddie Lili Bayer
[ワシントン/東京/ブリュッセル 27日 ロイター] - トランプ米大統領(共和党)は就任後100日で、貿易相手国に対して前例のない規模の関税を課して貿易戦争の火ぶたを切り、米国の対外援助を削減し、ウクライナでの戦闘を巡っては侵攻したロシアの和平案の肩を持つなどして混迷を深めている。デンマークの自治領であるグリーンランドを併合するとし、パナマ運河を奪還すると訴え、カナダを「51番目の州にする」と挑発して反発を買っている。
レーガン、ブッシュ(子)の両元大統領に仕えた保守派のエリオット・エイブラムス氏は「トランプ氏は(第1次政権を発足させた)8年前よりずっと急進的になっている」と指摘し、「私は驚かされている」と語った。
第2次トランプ政権の「米国第一」主義は同盟国を疎外する一方、敵対勢力との関係を強化している。トランプ氏の予測不能な行動は他国を震え上がらせており、2028年の次期大統領選でより伝統的な人物が選出されたとしても元に戻すのが難しいような対応をしている。
民主党と共和党の両政権下で中東諸国との交渉に携わったデニス・ロス氏は「私たちが目にしているのは世界情勢での巨大な混乱だ」とし、「現段階で何が起きているのか、次に何が起こるのかは誰にも分からない」と指摘した。
ロイターは米首都ワシントンと世界各国の首都を拠点とする10人を超える現・元政府高官、外交官、アナリストから話を聞いた。多くは既に受けたダメージの一部は長期化する可能性があるものの、トランプ氏がアプローチを軟化させれば状況を修復できないわけではないとも言及した。トランプ氏は既に輸入品への関税のタイミングと厳格性などいくつかの点で姿勢を後退させた。
一方、トランプ氏が姿勢を劇的に変化させる可能性はほとんどないとみており、多くの国々はトランプ氏の不規則な政策転換から自国を守るために対米関係を恒久的に変えるとの見通しを示している。
欧州の同盟国の一部は米国製兵器への依存を減らすために、自国の防衛産業を強化しようとしている。韓国では、独自の核兵器開発に関する議論が活発化している。
また、対米関係が悪化する米国の同盟国は、少なくとも経済的には中国に接近するのではないかとの憶測も広がっている。
ホワイトハウスはトランプ氏が米国の信頼性を傷つけたという見方に否定的な見解を示し、バイデン前大統領(民主党)が世界との交渉で「ぶざまなリーダーシップ」を見せていた後始末をする必要があると主張している。
米国家安全保障会議(NSC)のブライアン・ヒューズ報道官は「トランプ氏は戦闘終結に向けてウクライナとロシアを交渉の席に着かせ、(合成麻薬)フェンタニルの流入を食い止め、中国に責任を負わせることで米国人労働者を守り、最大限の圧力を再びかけることでイランを交渉の席に着かせるなど、課題に対処するための迅速な行動を取っている」とコメントした。
ロイター/イプソスが4月21日に米国で実施した世論調査によると、トランプ氏がロシアと「密接に連携しすぎている」との回答が半数を超え、共和党支持者の間でも約2割に達した。
<第2次トランプ政権への対応>
トランプ氏は、欧州連合(EU)について、米国を「ねじ伏せる」ために結成されたと根拠もなく主張している。EU加盟国は米国との関税交渉が失敗した場合、米国からの輸入品にさまざまな報復関税を導入すべく準備を進めている。
ドイツやフランスなどの一部加盟国は、トランプ氏の要求に沿って自国の防衛費支出を増やすことを検討している。これは自国の防衛産業への投資を増やし、米国からの兵器購入を減らすことを意味する可能性もある。
カナダはトランプ政権との関係が緊張する中で、欧州との経済、安全保障の連携を強化しようとしている。今月28日に下院議員選挙を控えたカナダでは、トランプ氏に対する有権者の憤りが募っており、米国はもはや信頼できる友好国ではないとの認識が高まっている。
韓国も、米軍を撤退させるとの脅しを含めたトランプ氏の政策に動揺している。韓国政府は今のところ、核武装した北朝鮮の脅威に対抗するのに重要だと見なしている米国との同盟関係を維持する姿勢を示している。
米国の同盟国である日本も神経をとがらせている。石破茂首相に近い日本政府高官は、トランプ氏が日本からの輸入品に適用すると表明した関税率の高さに驚いたとして「今は対応に追われている」と明らかにした。
トランプ氏が貿易戦争の最大のターゲットだと位置づける中国との貿易関係を緊密にし、ヘッジをかける動きが広がるかどうかも焦点となる。
スペインのサンチェス首相は4月11日、北京で中国の習近平国家主席と会談した。中国は最近、経済協力の強化に向けてEUと協議したと発表した。
共和党と民主党の両政権下で外交官を務めたカーネギー国際平和財団(ワシントン)のシニアフェロー、アーロン・デビッド・ミラー氏は「まだ戻れないところまで来ているわけではない」とし、トランプ氏が外交政策の方針を転換するのに遅すぎることはないと強調。ただ、「友好国との関係にどれほどの損害がもたらされ、敵対国にどれほどの利益をもたらすのかは計り知れない」と問題視した。
来年の中間選挙で多数派を維持できるかどうかを危惧する共和党所属の議員からは、トランプ氏の政策が経済を悪化させるリスクを不安視する向きが出ている。
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