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「金融界のロックスター」カナダ次期首相...「米国51番目の州」「首相は州知事」発言のトランプに対抗できるか
「金融界のロックスター」の異名を取るカーニー氏は政治的経験が皆無の金融テクノクラート。米ハーバード大学を卒業後、英オックスフォード大学で経済学の博士号を取り、米金融大手ゴールドマン・サックスに勤めた後、カナダ銀行副総裁、カナダ財務省副大臣を歴任した。
カナダ銀行総裁として巧みに世界金融危機を乗り切り、英紙フィナンシャル・タイムズの「未来を形作る50人」の1人に選ばれた。金融安定理事会議長に任命されたカーニー氏は2013年、300年以上の歴史を持つイングランド銀行(英中銀)で初めて英国人以外の総裁となった。
ハーバード時代にアイスホッケーで鍛えられたタフガイ
イングランド銀行は金融政策委員会を年12回開いていたが、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)にならってカーニー氏は年8回に減らした。金融政策の透明性を向上させるため、政策決定日から2週間後だった議事録公表も決定日当日に行われるようになった。
カーニー氏は失業率が7%を下回るまで金利を引き上げないと約束する「フォワード・ガイダンス」政策を導入。ハーバード大学時代にアイスホッケーで鍛えたタフガイぶりは英国を揺るがしたスコットランド独立住民投票や欧州連合(EU)離脱国民投票で如何なく発揮された。
スコットランドが独立後も英通貨ポンドを使い続けたいのであれば英国に権限を譲り渡さなければならないと直言。EU離脱国民投票前には、離脱を選択すれば不況の引き金になる恐れがあると警鐘を鳴らし、強硬離脱派から目の敵にされるようになったが、跳ね除けた。
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