コラム

まるで「ジュラシックパーク」...ロンドン証券取引所から「逃げ出す」企業が相次ぐ理由

2024年12月19日(木)16時13分

成長期が過ぎた企業が多く、革新的なハイテク企業が少ない

02~14年にかけ英国政府の福祉・年金改革や歳出改革に関わったエコノミスト、サイモン・フレンチ氏は「LSEには成長期が過ぎた企業が多く、革新的なハイテク企業が少ないため、ジュラシックパークと呼ぶ人もいるほどだ」と自嘲気味に語る。

英紙フィナンシャル・タイムズの社説(12月16日付)は「この悲惨な1年はロンドン株式市場がどれほど落ち込んでいるか、長期的な落ち込みを回復するための課題の大きさを物語っている。業績不振の一因は英国の産業構成がエネルギーや鉱業に偏っていることだ」と指摘する。

スターマー英政権は増税と借り入れで公務員の給与を上げ、公共サービスを向上させる方針だが、経済成長につながらなければ長続きしない。

老朽タンカーの再生は難しい。人工知能(AI)や生命科学、量子テクノロジーにより産業構造が劇的に変化する中、企業の成長を資金面で支える株式市場の改革は喫緊の課題。しかし市場改革の一番の薬は株価の上昇であることは日本を見れば明らかだ。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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