コラム

「エゴは外に置いてきて」 クインシー・ジョーンズ、個性派スターをまとめあげた『We Are The World』の奇跡

2024年11月06日(水)17時32分

「人類は一つ」というシンプルなメッセージ

「コーラの瓶にスイカを押し込む」(クインシー)作業は実に10時間に及んだ。マイケル・ジャクソンはスタジオに一番乗りし、クインシー・ジョーンズとソロのラインを確認した。

ブルース・スプリングスティーンのしわがれ声、個性的すぎるボブ・ディランのソロ、シンディ・ローパーのパンチのきいたボイス。強烈な個性が1つになった。

Netflixの『ザ・グレイテスト・ナイト・イン・ポップ』によると、ダイアナ・ロスは最後までスタジオに残り、「この瞬間が終わってほしくない」と涙をこぼした。

『ウィ・アー・ザ・ワールド』が成功したのはトップスターたちが一人ひとりの人間として「人類は一つ」というシンプルなメッセージを送ることにこだわったからだ。

「1億人の飢餓を救う」をスローガンにロンドンと米フィラデルフィアで行われたチャリティーコンサート「ライブエイド」は1億2700万ドル、『ウィ・アー・ザ・ワールド』は6300万ドルを集めた。現在の日本円に置き換えると実に675億円にのぼるという。

米大統領選を5日に控えたクインシー・ジョーンズの死は私たちに何を伝えようとしているのだろう。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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