コラム

職場のあなたは、ここまで監視されている...収集されたデータで「不当解雇」も(調査報告書)

2024年10月03日(木)18時12分

倉庫では従業員のパフォーマンスはリアルタイムで監視されている。「ピッキング率」と呼ばれる基準によって従業員は注意されるか、評価されるかが決まる。手持ち無沙汰にしているアイドリング時間も監視され、トイレ休憩がマイナス評価の対象となる恐れもある。

一般的に監視ツールから得られたデータは同僚とのパフォーマンス比較や長時間のアイドリング時間による自動的な懲戒処分など従業員の規律を維持するために使用される。このような環境は労働者から人間性を奪い、巨大なマシーンの歯車として扱っているという批判を招いている。

データ保護影響評価を従業員も入手できるようにすべきだ

広く普及しているマイクロソフト社のコミュニケーションプラットフォーム「Teams」は上司による従業員監視ツールとしても機能する。メッセージの送信数、スケジュールされた会議、通話時間など広範なデータを収集。管理職はこうしたデータから従業員の生産性を精査できる。

Teams を OneDrive や Outlook など他のソフトウェアと統合すればファイルの使用状況、電子メール、ウェブ閲覧を追跡できるようになり、監視レベルをさらに高められる。今回の報告書はテクノロジーによる従業員監視とプライバシー侵害、不当な懲戒処分の実態に光を当てた。

従業員監視を調査するビッグ・ブラザー・ウォッチ

ビッグ・ブラザー・ウォッチのシルキー・カルロ代表(中央、筆者撮影)

ビッグ・ブラザー・ウォッチのシルキー・カルロ代表は「バイオメトリクス技術、体系的な監視、自動化された意思決定、その他リスクの高いデータ処理を導入する使用者が作成しなければならないデータ保護影響評価を労働者や労組も入手できるようにすべきだ」と訴えている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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