コラム

キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない」と皇太子妃の伝記作家 「家族第一の謎めいた人」

2024年09月11日(水)19時10分
キャサリン皇太子妃が化学療法の終了を報告

ウィリアム皇太子とキャサリン妃がXに投稿した動画より

<キャサリン皇太子妃が、感動的な家族の動画を投稿し「化学療法を終えた」と報告。彼女の伝記を出版したベテランジャーナリストが今後の見通しなどを語った>

[ロンドン発]王室取材35年のベテランジャーナリスト、ロバート・ジョブソン氏が新著『キャサリン皇太子妃:未来の王妃の伝記』を出版し、9月10日、外国人特派員協会(FPA)で質疑に応じた。キャサリン妃は前日の9日、がんの化学治療を終えたことを明らかにしたばかり。

1月に腹部手術、3月にがん治療を告白、6月チャールズ国王の誕生日を祝う行事で公務に限定復帰したキャサリン妃はX(旧ツイッター)に家族の動画を投稿し「夏も終わりに近づき、ようやく化学療法を終えることができ、どんなにホッとしているか分かりません」と報告した。

家族で撮影した感動的な映像付きのキャサリン妃のXでのメッセージ


「家族にとって信じられないほど辛い9カ月間はウィリアム(皇太子)と私に、人生においてシンプルでありながら重要なことに感謝することを思い出させてくれました。ただ愛し、愛されることを。がんにならないためにできることをすることに集中しています」(キャサリン妃)

「治癒と完全回復への道のりは長く、一日一日を大切に過ごしていかなければなりません。今後数カ月のうちに公務に復帰し、可能な限り人前で仕事をすることを楽しみにしています。私は希望と人生への感謝の気持ちを新たにして回復の新たな段階を迎えます」(同)

キャサリン妃について、ジョブソン氏との質疑は以下の通り。

newsweekjp_20240911093911.jpg

記者の質疑に応じるジョブソン氏(9月10日、筆者撮影)

──キャサリン妃(通称・ケイト)はどんな人ですか。

ケイトが本当に謎めいた人だということは誰しもが認めるところだ。個人的には9日、Xで公開したメッセージはとてもいいビデオだと思ったし、子どもたちがリラックスできる環境で撮影できた。ケイトが元気で、回復していることを示すためにもね。

がんはいつ再発するか分からない。私の知人の中にはあわてて仕事に復帰したものの、良い結果につながらず、最悪の結末を迎えてしまった人も何人もいる。だから私たちは彼女の発言や生き方を尊重しなければならない。国内外のメディアは信じられないほど敬意を払っている。

彼女が復帰したという見出しがたくさん出ているが、年末まで、おそらく1回か2回、非常に抑制された形で公務が行われるだけだろう。年明けの1月以降もそれは続くと思う。チャールズ国王や他の王族と同じように王室担当記者が事前に連絡を受けることもないだろう。

彼女は批判される人だ。彼女は明らかに家族を第一に考え、自分の限界を知り、医学的なアドバイスに注意深く耳を傾けるつもりだ。国王は非常に明確な医学的助言を与えられている。国王は全ての仕事に真っ向から取り組んでいるので、私は少し不安にならざるを得ない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story