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欧州政治 もはや「極右」の拡大と、権力への接近は止められない...現実路線と過激化の不協和音も
国民連合のマリーヌ・ルペン(6月10日) Francois Pauletto / Hans Lucas via Reuters Connect
<フランスでは、欧州議会選挙でルペン氏の極右政党に大敗したマクロン大統領が国民議会の解散総選挙に追い込まれた>
[ロンドン発]欧州連合(EU)欧州議会選(6月6~9日、定数720)で極右・右派ポピュリストの「欧州保守改革グループ」(ECR)73議席(議席占有率10.1%)、「アイデンティティーと民主主義」 (ID)58議席(同8.1%)とそれぞれ前回の9.8%、7%を上回った。
フランスでは脱悪魔化を進めてきたマリーヌ・ルペン氏の「国民連合」(RN)31.4%、エリック・ゼムール党首率いる「再征服」のグループ5.5%と極右が過去最高の得票率を記録。エマニュエル・マクロン仏大統領は6月9日、国民議会(下院、定数577)の解散総選挙を宣言した。
国民議会解散は1997年のジャック・シラク大統領以来という大ギャンブルである。マクロン大統領は「今こそはっきりさせる時だ。わが国には穏やかに調和を持って行動するための明確な多数派が必要だ」と決意をみなぎらせた。第1回投票は6月30日、決選投票は7月7日だ。
メローニ伊首相は現実路線で支持広げる
イタリアではジョルジャ・メローニ首相率いる「イタリアの同胞」が28.8%と首位に立った。同党はネオ・ファシズムの流れを汲む。昨年、同国には15万5000人以上が不法入国し、メローニ首相はアルバニアで難民申請を処理する英国と同じ「ルワンダ方式」を導入した。
イタリア当局が海上で救助した難民を年間最大3万6000人収容する計画だ。収容施設はイタリアの費用で建設され、同国の法律に基づき運営される。人権問題を引き起こす恐れがあるとして、国際人権団体から「費用のかかる残酷な茶番」と批判の声が上がる。
「イタリアの同胞」は欧州懐疑派だが、メローニ首相はイタリアのEU離脱に反対する現実主義者。ウクライナ支援でもEUと足並みをそろえ、親露派の反逆児ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相、銃撃され重傷を負ったスロバキアのロベルト・フィツォ首相とは一線を画する。
極右の中でも嫌われる「ドイツのための選択肢」
ドイツでは極右「ドイツのための選択肢」(AfD)が致命的なスキャンダルにもかかわらず15.9%の票を得た。中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)の30%に次いで2位につけ、オラフ・ショルツ独首相率いる社会民主党(SPD)の13.9%を上回った。
AfDはドイツ国籍を持つ人を含む多様な民族背景を持つ何百万人を出身国に強制送還する「再移民」計画を支持していると疑われている。昨年11月にポツダムで開催された極右政治家やネオナチが出席した秘密会議で話し合われたとされる。