コラム

英王族にプライベートは許されない? 「ドタキャン」騒動でキャサリン妃の健康状態にウワサ渦巻く

2024年03月01日(金)17時10分
キャサリン皇太子妃

昨年のクリスマスに家族と共に姿を見せたキャサリン皇太子妃(2023年12月25日) Chris Radburn-Reuters

<タブロイド紙にプライベートを狙われ続ける英王室メンバー。その中でウィリアム皇太子は秘密主義と情報管理に徹してきた>

[ロンドン発]ウィリアム英皇太子が2月27日「プライベートな問題」で名付け親の1人であるギリシャ最後の国王コンスタンティノス2世の追悼式をドタキャンしたことが、腹部の手術を受けて公務から離れているキャサリン皇太子妃の健康状態を巡る憶測に火を付けている。

英大衆紙(タブロイド)は常に特ダネを求めてハイエナのように嗅ぎ回る。英王族に「プライベート」が許されるのは母親の子宮の中にいる時だけと皮肉られる。しかし母、ダイアナ元皇太子妃の悲劇を目の当たりにしたウィリアム皇太子は秘密主義と情報管理に徹してきた。

2005年、英大衆日曜紙ニューズ・オブ・ザ・ワールド(廃刊)が担当医しか知らないウィリアム王子(当時)の膝の治療をスクープした際、携帯電話のボイスメールが盗聴されていると疑い、同紙による組織的な大規模盗聴事件を暴く端緒をつくったことがある。

ウィリアム皇太子が自分のインナーサークルの中に入ることを許すのは秘密を守ることができるごく限られた人物だけ。弟のヘンリー公爵(王位継承順位5位)とその妻メーガン夫人と上手く行かなくなった大きな理由の1つにもウィリアム皇太子の秘密主義と情報管理が挙げられる。

昨年のクリスマス以来、姿を見せない皇太子妃

米紙ニューヨーク・タイムズ(2月28日付)は「キャサリン皇太子妃を心配するウワサが渦巻く。ウィリアム皇太子が未公表の『プライベートな問題』を理由に王室行事への出席を急遽取りやめたことで、ネット上ではキャサリン妃の健康状態に関する憶測が飛び交う」と報じている。

昨年のクリスマス、英ノーフォーク州サンドリンガムの聖メアリー・マグダレン教会の礼拝に家族で参加して以来、キャサリン妃は公の場に姿をあらわしていない。キャサリン妃はロンドンのクリニックで予定されていた腹部の手術を受けたと今年1月17日に発表された。

そのわずか1時間後、今度はチャールズ国王が前立腺肥大の治療を受けることが発表された。2月5日には国王はがんであることが明らかにされた。それ以来2人の健康状態は国民の関心の的となった。中でもキャサリン妃の健康状態を巡っては多くの憶測や懸念、陰謀説が飛び交う。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story