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イラン製「カミカゼドローン」に日米欧の電子部品が...G7の「経済力低下」で制裁は穴だらけ 逆噴射の恐れも
冷戦終結後、西側と中露の協調が進み、制裁もそれなりに意味があったが、これだけ世界が分断すると制裁を回避する手段はいくらでもある。米実業家イーロン・マスク氏傘下の民間企業スペースXが運用する衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク」がウクライナ戦争で果たした役割を見れば、先端技術の官民格差は完全に逆転したことが分かる。
独統計会社スタティスタによると、G7対BRICS(中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカ)の国内総生産(GDP)が世界経済に占める割合は、冷戦終結後の1995年は45%対17%だったが、世界金融危機後の2010年には34%対27%とその差は縮まり、ウクライナ戦争勃発後の23年には30%対32%と逆転している。
ウクライナ戦争は21世紀の覇者を占う前哨戦
ウクライナ戦争は、21世紀は中国が支配するのか、それとも西側が中国の横暴を阻止できるのかを占う重要な「前哨戦」だ。第二次世界大戦は米国が核兵器の開発競争を制して連合国が勝利した。冷戦では、競争や研究開発を促す西側の自由経済システムが非効率な東側の共産主義経済を打ち負かした。
平時ではドル安=原油高、ドル高=原油安の法則が成り立つ。しかしウクライナ戦争で地政学上のリスクが増し、狡猾なウラジーミル・プーチン露大統領がサウジアラビアと結託して原油供給制限を年末まで延長すると9月5日に発表。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「サウジとロシア、原油削減のギャンブルで大勝利」と報じた。
同紙によると、世界的な景気後退と中国の成長鈍化への懸念、ドル高にもかかわらず、ブレント原油は1バレル=100ドルに向かって上昇する。サウジとロシアはここ数カ月で生産量が減少したものの、膨大な追加収入を手にした。余剰資金はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の投資キャンペーンを後押しし、プーチンのウクライナ戦争を継続可能にする。
パトリオットなど西側の防空システムで強化されたウクライナの"空の盾"はロシア軍の長距離ミサイルに対して首都キーウの空は守れても、地方都市にまで手が回らないのが現状だ。だから空爆を行うロシア軍機を遠ざけられる米国製F-16の供与は焦眉の課題だ。ウクライナ軍のドローン撃墜技術も格段に向上したが、数が多いとすべてを撃ち落とすのは難しい。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこれまで何度も「ロシアはミサイル製造のための重要部品を一部のパートナー国企業を含む世界中の企業から入手する能力を持っている。完全な制裁が世界的に科されるべきだ。新しい防空ミサイルにお金をかけるよりテロ用部品の供給を断ち切る方が安上がりだからだ」と訴えてきた。