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G20サミットで「米欧vs中露」の対立鮮明...議長国インドはしたたかに立ち回り、首脳宣言は見送りか
インドを常任理事国とする国連安保理改革を支持
バイデン氏はインドを常任理事国とする国連安全保障理事会改革を支持し、防衛、原子力、宇宙開発、グローバル半導体サプライチェーンの構築、送受信装置などの仕様をオープンにしてさまざまなベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能にするOpen RANと移動通信システム5G/6G技術の研究開発、量子技術、バイオなど多岐にわたる協力を約束した。
インドは米国から31機の無人攻撃機MQ-9Bプレデターの調達を進める。米国と中国を天秤にかけるモディ氏のしたたかさが浮かび上がる。インドは長い間、非同盟外交政策を維持しており、モスクワとの外交関係はソ連時代にさかのぼる。西側がロシア産原油・天然ガスから撤退する一方で、インドは原油の輸入を増やす。
減ったとは言え、インドにとってロシアは軍事・防衛機器の最大の供給国だ。だからロシアのウクライナ侵攻を非難する国連決議を棄権した。英国のリシ・スナク首相はインド系の英首相として初めてニューデリーを訪問。ウクライナが黒海経由で穀物を安全に輸出できるようにする協定から離脱したプーチンの決定を非難するようG20首脳に呼びかける方針だ。
英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)のレスリー・ビンジャムリ米国プログラム・ディレクターは「英国はインドとの自由貿易協定交渉を理想とする国々の列に加わりつつある。今日のインドは抜け目なく、プライドも高い。英国が、経済も野心も英国を凌駕しているように見えるインドと取引を進めたいのであれば互いに満足のいく提案が不可欠だ」と話す。