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ドイツ「極右政党」を手なずけて利用...中国「悪魔のリアルポリティクス」がもたらしつつある「成果」
「反中勢力はドイツの利益を代表していない」
「ドイツのための選択肢」の外交政策スポークスマンは「ドイツの外交戦略を装って(急に覚醒したように過激な環境保護を唱える)グリーン・ウォーク・イデオロギーと米国の地政学的利益を実行しようとしている 。中国を競争相手であり、体系的なライバルと位置づけるのは米国の中国に対する対決路線の結果だ」と非難した。
親中派のマクシミリアン・クラー同党欧州議会議員は22年11月、中国共産党系機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」英語版に「ドイツを中国から切り離すことは米国の利益にしかならず、ドイツ自身の産業に深刻なダメージを与える。ドイツ国内の反中勢力はドイツの利益を代表していない」と語っている。
前出のポーズナー氏は「ドイツで起こり得る右傾化の結果を考えるなら、民族主義的なドイツは世界にとって差し迫った脅威にはならない。国内総生産(GDP)が4兆2000億ドル強のドイツは、18.1兆ドルの中国や25兆4000億ドルの米国と比べると微々たるものだ。人口規模と軍事力については言うまでもない」と分析する。
「しかし欧州連合(EU)を破壊し、北大西洋条約機構(NATO)を弱体化させることはできる。ドイツは欧州の支配者にもなれず、北京の音楽に合わせて踊る必要がある」(ポーズナー氏)。中国が「ドイツのための選択肢」に接近する狙いは来年6月の欧州議会選で躍進が予想される同党をはじめとする欧州の極右政党に影響力を持つことにある。
極右をも利用する中国共産党流「悪魔のリアルポリティクス」とでも言うべきか。大戦後、ドイツ国民は「歴史を繰り返してはならない」という言葉を信条としてきた。難民・移民の流入、エネルギー・生活費危機、高くつく政府の温暖化対策への不満で「ドイツのための選択肢」の支持率が20%を超えた今、地球儀を手にドイツの有権者はどう動くのだろう。