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ドイツ「極右政党」を手なずけて利用...中国「悪魔のリアルポリティクス」がもたらしつつある「成果」
「神よ、われわれを助けてください。ベアボックは中国で新たな使命を担っている。彼女は『欧州が共有する信念』を強調したいのだ。この信念を共有していないのはフランスだけではない」(ワイデル氏)。大戦後のドイツ外交は米国との関係を何より重視する大西洋主義とフランスを第一の同盟国と考える独仏枢軸の間で揺れ動いてきた。
4月、中国訪問を終えたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は機中、仏経済紙レゼコーと米ニュースメディア、ポリティコのインタビューに応じ「私たち欧州人は台湾問題を加速させることに関心があるのか。最悪なのは欧州人がこの問題に関して米国のリズムや中国の過剰反応に隷属的でなければならないと考えることだろう」と発言して物議を醸した。
独首相「中国とのデカップリングが目的ではない」
「欧州は米国、中国と並ぶ世界秩序の第3の大国であるべきだ」というマクロン氏の発言は、欧州の「戦略的自立」、すなわち米中に対して軍事的・経済的依存を避けるという長期目標を再確認したものだった。しかし米国や一部の西側同盟国から「マクロン氏は台湾の安全保障は当面、欧州の関心事ではないことをほのめかした」と厳しく批判された。
7月、ドイツ政府は「中国は変わった。このことと中国の政治的決断によってわれわれが中国に対処する方法を変える必要がある」として自動車生産など中国への経済的依存度を下げる独自の対中戦略を初めて打ち出した。昨年、中国は7年連続でドイツにとって最も重要な貿易相手国となり、モノの輸出入は約3000億ユーロ(約47兆4800億円)にも達している。
アンゲラ・メルケル独首相時代の2005~21年まで北京とベルリンは包括的戦略的パートナーシップを宣言するほどの蜜月ぶりだった。しかしウクライナに侵攻したロシアとの「揺るぎなき友好関係」、台湾海峡の緊張、新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧などの問題が吹き出す中国に対して、ドイツはパートナーシップの見直しを迫られた。
「中国とのデカップリングではなく、リスクを最小化するためのものだ」とオラフ・ショルツ独首相が繰り返したようにドイツの対中戦略はジョー・バイデン米大統領が主導する中国とのデカップリングとは一線を画し、ドイツ産業界に配慮した融和的な内容と受け止められている。しかし中国側は「中国はパートナーであり、ライバルではない」と猛反発した。