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夢と消えた「中国の60兆ドル金融市場」 米中対立で「儲け話が暗転」...国家安全保障を最優先する習近平
owngarden/iStock
<中国政府系資金で米英企業を次々と買収していたことが明らかに。だが中国金融市場で儲けようとする試みには暗雲が立ち込めている>
[ロンドン発]英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版8月29日)は米金融大手ゴールドマン・サックスが中国と西側諸国の緊張が高まる中、中国の国家マネーで設立されたファンドを利用して英国政府にサービスを提供するサイバーセキュリティー企業を含む米国や英国の先端企業を買収していると報じた。
英国政府関係者は「国家安全保障上の懸念がある場合、躊躇なく権限を行使する」と同紙に話している。米金融を隠れ蓑に使った中国による西側諸国の企業買収や人権弾圧に関係している中国企業への投資に対する監視の目は一層厳しくなっている。ドナルド・トランプ前米大統領の対中強硬路線とデカップリングはジョー・バイデン米大統領にも引き継がれている。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、ゴールドマン・サックスは、中国政府系ファンドの中国投資有限責任公司(China Investment Corporation)とともに2017年に設立した25億ドルのプライベート・エクイティ「パートナーシップ・ファンド」の資金を使い、グローバル・サプライ・チェーンを追跡するスタートアップなど7件の買収を行った。
クラウド・コンピューティングに関するアドバイスを提供するコンサルティング会社や薬物検査会社、人工知能(AI)、ドローン(無人機)、電気自動車(EV)のバッテリーに使用されるシステムの製造会社などが含まれる。こうした先端企業への投資は発表済みだが、中国政府系ファンドの資金が含まれていることは明らかにされていなかった。
インデックス・ファンドを通じた中国投資の問題点
ゴールドマン・サックスは 「中国・米国産業協力パートナーシップ・ファンドは米国のマネジャーによって運営される米国のファンドであり、すべての法律と規制を順守するよう管理されている。このファンドは米国企業やグローバル企業への投資を続け、中国市場への販売拡大を支援している」と同紙に説明している。
人権英団体「香港ウオッチ」は昨年12月、MSCIエマージング・マーケット・インデックスなどを通じて、世界最大の米資産運用会社ブラックロックやスイスの金融大手UBS、英アセットマネジメント企業シュローダー、世界最大の年金基金が中国新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧への関与が濃厚な中国企業に投資していると指摘している。
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