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「規則は自分たち以外に適用される」...カタールW杯めぐる疑惑で見えてきたEUの深すぎる闇
欧州議会のエヴァ・カイリ副議長(11月22日) EP/Handout via REUTERS
<ワールドカップ開催中のカタール側から金銭を受け取り、欧州議会でロビー活動を行っていた疑いで欧州議会の副議長を逮捕>
サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催国カタールに絡む汚職スキャンダルで、ベルギーの捜査当局は欧州連合(EU)欧州議会のエヴァ・カイリ副議長(44)=ギリシャ選出=と父親、夫フランチェスコ・ジョルジ氏ら数人を逮捕、このうちカイリ氏ら4人を起訴した。欧州議会のロベルタ・メッツォーラ議長は腐敗議員に「免罪符はない」と述べた。
事件の詳細はまだ明らかにされていないが、捜査当局は汚職、マネーロンダリング(資金洗浄)、犯罪組織への加担に関して「大掛かりな捜査」を進めている。カイリ氏は欧州議会で湾岸諸国に関して積極的に演説したり、「カタールは中東における労働改革の先頭ランナー」と称賛したりしていた。
カイリ氏らはカタール側から金銭を受け取った見返りに欧州議会でロビー活動を行っていた疑いが持たれている。カタールEU代表部は疑惑について「根拠はなく、重大な誤り」と全面否定している。カイリ氏の弁護士もギリシャのテレビ局に「彼女は無実で、カタールから金銭を受け取っていない」と潔白を主張している。
捜査当局は証拠隠滅を防ぐため、欧州議会で働くスタッフ10人のIT(情報技術)リソースを凍結した。
深刻な人権侵害に対する責任追及と国際司法を促進するために設立された国際NGO(非政府組織)「ファイト・イムピューニティ(刑事免責)」の会長を務めるアントニオ・パンツェリ元欧州議会議員=イタリア選出=も逮捕された。パンツェリ氏の自宅から現金約60万ユーロ(約8640万円)が押収された。NGOが金銭の受け皿になっていたとみられる。
腐敗防止策は「職務権限の自由の侵害」と拒絶
EUにはNGO、ロビー団体、コンサルタント、慈善団体など法制化に影響を与えようとする団体が透明性を確保するため登録するデータベースがある。登録された団体は予算とNGOへの1万ユーロ(約144万円)以上の寄付を申告することが義務付けられる。しかしスキャンダルの渦中にある「ファイト・イムピューニティ」は登録されていなかった。
ブラックジョークにしか聞こえないが、「ファイト・イムピューニティ」の使命は国際司法の柱として説明責任の原則を徹底し、深刻な人権侵害や人道に対する不処罰への闘いを促進することだ。国家や個人の責任を監督し、違反行為について説明責任を確保するための国際的・地域的なメカニズムの効果を高めることも目標に掲げている。