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戦闘で勝ち目なしと悟ったプーチンが頼る「冬将軍」...エネルギー施設攻撃の姑息な狙い
ロシアのドローン攻撃を受けたウクライナのエネルギー施設(10月27日) State Emergency Service of Ukraine/Handout via REUTERS
<ウクライナで、エネルギーインフラを標的にした攻撃に重点を置き始めたロシア。なんとか「冬将軍」を味方につけたいとの狙いが透けて見える>
[ロンドン発]ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11月3日の演説で「ロシアのエネルギーテロに耐えることが今、私たちの国家的課題である」と訴えた。ロシア軍は前線で戦果をあげられないため、冬将軍の到来を前に「エネルギーテロ」でウクライナ軍を後方から支えるウクライナ国民の動揺を誘っている。
「全国各地のエネルギーインフラに被害が出ている。今晩の時点だけでも約450万人が緊急安定化計画に基づいて一時的にエネルギー消費を停止している。エネルギー産業に対するテロに訴えたことはまさに敵の弱さを示している。戦場でウクライナに勝てないから、このような方法でウクライナ国民の士気や抵抗力を削ごうとしている」
「ロシアが成功することはない。大切なのは私たちがともに行動する能力を維持することだ。まずウクライナのすべての都市や地域で不必要な電気を使用しない。今は明るいショーケースや看板、広告などの照明が必要な時期ではない。エネルギー会社は消費者からエネルギー供給の不公平を指摘されたら、すぐに対応してほしい」と呼びかけた。
ここ数週間、ロシア軍はウクライナの電力施設に対して大規模な誘導ミサイルやカミカゼドローン(自爆型無人機)攻撃を仕掛けている。ゼレンスキー氏によると、発電所の3分の1が破壊された。その一方で、苦戦が続くロシア軍はドニプロ川右岸の南部ヘルソンから撤退する動きを見せる。ロシア軍の指揮官のほとんどがすでに撤退を終えているとの報道もある。
何百万人が電気、暖房、水を失ったまま
冬将軍は、ナポレオンのロシア遠征、スウェーデンとロシアの大北方戦争、ソ連がフィンランドに侵攻した冬戦争、第二次世界大戦でのモスクワの戦い、スターリングラードの戦いで大きく勝敗を分けてきた。冬将軍を味方につけた方が勝利を収める。ウクライナではロシア軍の攻撃に対抗すべく越冬準備が進められている。
天然ガスの輸送、地政学的リスクを専門にする英ICIS(インディペンデント・コモディティ・インテリジェンス・サービス)のオーラ・サバドゥス博士はICISのポッドキャスト(11月3日)で次のような見方を示している。
「10月に入ってから、ウクライナのエネルギーインフラはロシアによる誘導ミサイル攻撃を受け、送電線と発電能力の大部分が破壊された。何百万人の消費者が電気、暖房、水を失ったままになっている。欧州企業は天然ガスの輸入を開始し、ウクライナの地下施設への備蓄を一段と増やしている」