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気候変動問題は、今や国際政治を動かす「地政学」に...バイデンCOP27「強行参加」の狙い
COP27で演説するバイデン米大統領(11月11日) Mohamed Abd El Ghany-Reuters
<中間選挙で苦戦を強いられながら、バイデンが数時間の強行軍でCOP27を訪れたのは、それだけこの問題が地政学的な重要性を持っているためだ>
[シャルム・エル・シェイク(エジプト)発]米中間選挙で何とか大敗を免れたジョー・バイデン米大統領(民主党)が11日、シャルム・エル・シェイクで開催されている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に数時間だけ顔を出し、「(アントニオ・グテーレス国連事務総長が言う)気候地獄を回避するため米国は自らの役割を果たす」と宣言した。
この日、ナンシー・ペロシ米下院議長(民主党)率いる米下院代表団もCOP27を訪れ、「未来の世代と現在のため地球を守り、公平性、包括性、多様性をもたらす方法で解決策を生み出す」(ペロシ氏)と誓った。米民主党からはアル・ゴア元副大統領、ジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使も参加する力の入れようだ。
バイデン氏はこの日の演説で、ドナルド・トランプ前米大統領が気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱したことをまず謝罪した。しかし中間選挙の結果、米上下両院で過半数を失う事態に陥れば、COP27でいくら花火を打ち上げても絵に描いた餅に終わる。バイデン氏はそうした懸念を振り払うように熱弁をふるった。
「世界気象機関(WMO)によると過去8年間、記録的な温暖化が続いている。米国では西部で歴史的な干ばつと山火事、東部で壊滅的なハリケーンと暴風雨が発生した。アフリカの角では4年にわたる厳しい干ばつにより、食糧不安と飢餓が起きた。ナイジェリアでは洪水で600人が死亡し、130万人以上が避難した」
米国はインフレ抑制法で51兆円
バイデン氏は「気候の破局を回避し、クリーンエネルギー経済を実現することが不可欠であるだけでなく私たちの使命だと認識している。米国はこの2年間でクリーンエネルギーを送電できる電力網を整備し、電気自動車充電スタンドを全国5万カ所以上に構築した。この夏、米議会は最も重要な気候変動法案のインフレ抑制法を可決した」と実績を強調した。
バイデン政権は陸上風力、洋上風力、分散型太陽光、ゼロエミッション車、持続可能な航空燃料、より効率的な省電力建築、クリーンな工業プロセスや製造など、クリーン電力を支援するために3680億ドル(約51兆円)を投じる。米エネルギー省の試算によると、インフレ抑制法により2030年までに米国内の温室効果ガス排出量を約10億トン削減できるという。