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気候変動問題は、今や国際政治を動かす「地政学」に...バイデンCOP27「強行参加」の狙い
「二酸化炭素の何千倍も有害な温室効果ガスである代替フロンの生産と消費を段階的に減らす。メタンも二酸化炭素より80倍も強力で、ネットで見て温暖化の半分近くの責任を負う。米国は国内のメタン削減のため200億ドル(約2兆7800億円)以上を投資した。30年までにメタンを30%削減することが1.5度目標を達成する最良のチャンスとなる」と力説した。
バイデン氏は、こうした行動は30年までに排出量を05年比で50~52%削減する目標達成の軌道に米国を乗せると強調した。気候金融への米国の支援を4倍に拡大し、途上国が再生可能エネルギーに移行するのを支援するため24年までに年間110億ドル(約1兆5300億円)を出し、他国と協力し1000億ドル(約13兆8800億円)を動員する考えを改めて示した。
「損失と損害のCOP」
このうち30億ドル(約4200億円)について気候変動の悪影響を軽減する「適応」に提供すると約束した。気候変動の悪影響に特に脆弱な途上国に資金を提供する国連の「適応基金」への拠出金を1億ドル(約139億円)に倍増した。しかしCOP27で初めて正式な議題になった気候災害に対する「損失と損害」についてバイデン氏は完全スルーした。
というのも米国をはじめとする先進国は長年、途上国からの「損失と損害」への資金要求を拒んできた経緯があるからだ。先進国が地球温暖化に対する無限責任を負わされる恐れがある上、法的にも実際の運用上も「損失と損害」とは何かを明確に定義し、その費用と負担者を決定するのが非常に困難というもっともな理由もあった。
しかし今年、気候変動が原因とみられる異常気象で深刻な被害が相次いだ。パキスタンの3分の1が水没し、ナイジェリアでは過去10年で最悪の洪水が起きた。さらに欧州で500年ぶり、米国では1000年ぶり、中国でも記録的な大干ばつとなった。そんな中で開かれたCOP27は国際環境NGO(非政府組織)の間では「損失と損害のCOP」と位置付けられる。
昨年のCOP26では開催地のスコットランドが初めて「損失と損害」に100万ポンド(約1億6400万円)を拠出すると約束。COP27で700万ポンド(約11億4800万円)に積み上げられた。今回オーストリアは5000万ユーロ(約72億円)、デンマークは1300万ドル(約18億円)を拠出、ベルギーはモザンビークに250万ドル(約3億4700万円)を提供すると約束した。