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エネルギー危機で倒産の連鎖...英経済に失政でとどめ刺したトラス政権、早くも崩壊へ?
保守党大会で演説するリズ・トラス首相(筆者撮影)
<ウクライナ戦争の余波で冬には計画停電の恐れが出てきたイギリス。住宅ローン上昇や住宅価格の下落、企業倒産、インフレと様々な問題が浮上している>
[ロンドン発]ウクライナ戦争でロシアのウラジーミル・プーチン大統領が欧州向け天然ガス供給を制限していることで急激に悪化したエネルギー危機で、英国のガス・電力供給会社「ナショナル・グリッドESO」はエネルギー危機がこのまま続けば、この冬、数百万世帯が1日3時間の計画停電を強いられる恐れがあると警告した。
リズ・トラス英首相は保守党大会の党首演説で「一般家庭の光熱費が年 6000 ポンド(約96万7900円)以上に高騰する恐れがあったが、2500ポンド(約40万3300円)に抑えた」と胸を張ったが、それだけでは未曾有の危機は乗り切れない。計画停電を避けるためには一般家庭はピーク時に暖房を弱める、洗濯機を使わないなど、徹底した省エネが求められる。
家電製品の電源を切れば1日当たり約10ポンド(約1600円)を浮かすことができる。詳細は11月1日に発表される見通しだ。しかし、他人に、ましてや政府にあれこれ指図されることが大嫌いなのが英国人気質。現在の状況は炭鉱や鉄道のストによりエドワード・ヒース首相(保守党)が計画停電に追い込まれた1970年代の暗い記憶を呼び覚ます。
ナショナル・グリッドESOのエグゼクティブ・ディレクター、フィンタン・スライ氏は「ベースのシナリオでは冬を通じて十分な電力供給を確保できると考えている。しかし世界のエネルギー市場における前例のない混乱や変動など私たちがコントロールできない外的要因やリスクに考慮することが必要だ」と臨時の石炭火力発電に備えていることを明らかにした。
住宅ローンは上昇し、住宅価格は下落する
英金融データ会社マネーファクツによると、住宅ローンの平均的な2年固定金利は、通貨安、債券安、株安の「トリプル安」の引き金になったクワジ・クワーテング財務相のミニ予算が発表された9月23日は4.74%だったが、26日には5.75%になり、30日には6.16%にハネ上がった。5年固定金利も同様に6.07%まで上昇した。
クワーテング氏は住宅ローン市場から引き上げたバークレイズやナットウエストなど銀行幹部と会い、取引を再開するよう要請した。2020年10月に20万ポンドの25年返済型住宅ローンを1.59%の金利で組んでいた場合、毎月の返済額は808ポンド(約13万円)。しかし今5.06%の2年固定に切り替えると返済額は1166ポンド(約18万8000円)に膨れ上がる。