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「また会いましょう」の言葉で人々を勇気づけたエリザベス女王との別れの涙
沿道でエリザベス女王の葬送行進を見送る市民(9月19日、ザ・マルで筆者撮影)
<英国民2000万人と会い、2万回以上の公務をこなし、地球を40周した偉大過ぎる女王の足跡。それだけに王室の未来には暗い影が差す>
[ロンドン発]在位70年、96歳で9月8日亡くなられたエリザベス英女王の国葬が19日午前11時(日本時間同日午後7時)からロンドンのウェストミンスター寺院で行われ、天皇皇后両陛下、ジョー・バイデン米大統領をはじめ国内外の要人、王族ら約2000人が参列した。沿道には200万人以上の市民が詰めかけ、世界の41億人が国葬を視聴した(推定)。
賛美歌と国歌、軍葬ラッパ、時代絵巻のように延々と続く葬送行進。エリザベス女王の葬送は想像していた以上に桁外れだった。女王の棺はロンドン郊外の居城ウィンザー城まで運ばれ、聖ジョージ礼拝堂に長年連れ添った夫フリップ殿下、先の国王だった父ジョージ6世、母エリザベス王太后、妹マーガレット王女とともに安置された。
筆者は、スコットランドのバルモラル城からバッキンガム宮殿に戻られたチャールズ国王とカミラ王妃(9日)、バッキンガム宮殿からウェストミンスター・ホールまでの葬送行進と弔問(14日)、チャールズ国王とウィリアム皇太子のロンドン・ランベス警察署訪問(17日)を間近で取材した。
妻の史子は18日午前3時から12時間半(最長24時間待ち)並んで一般弔問した。夜のロンドンは最低で摂氏8度まで冷え込む。日本円にして2800円程度の毛布が無償で支給された。19日の国葬当日は午前3時半すぎにバッキンガム宮殿につながる大通り、ザ・マルに到着したが、すでに4重、5重の人並みができ、最前列の人は毛布にくるまりゴロ寝していた。
「現代英国の礎」を失った不安
女王の棺を覆う「ロイヤル・スタンダード(紋章旗)」、その上に置かれた2868個のダイヤモンドを散りばめた大英帝国王冠、宝玉と勺杖(しゃくじょう)。英王室の「三種の神器」だ。ウェストミンスター・ホールからウェストミンスター寺院、バッキンガム宮殿へと、棺を乗せた砲車が英海軍の水兵98人に曳かれる光景は壮観でもあり、物悲しくもあった。
筆者はウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃、ヘンリー公爵とメーガン夫人の結婚、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子の誕生を取材したが、それとは比較できない人出だった。在位70年で2万1000回の公務をこなし、英国民の10人に3人、2000万人超が女王に直接会ったか見た(世論調査会社ユーガブ)というだけに、悲しみも深く、大きかった。