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ロシア侵攻から半年 ついに「大規模反攻」の勝負に出たウクライナの狙い
月平均10万台の自動車販売が2万7000台に急落
しかし、米イェール大学のジェフリー・ソネンフェルド教授らのチームは西側企業の撤退と制裁がロシア経済を破滅的に悪化させているとの研究報告を発表した。ロシアの当局発表をどこまで信じて良いかは疑わしいとして、一つの指標として平均10万台程度だった月間自動車販売台数が6月に2万7000台に落ちたことを挙げる。報告のポイントを見ておこう。
(1)欧州という主要市場を失い、ロシア経済は弱体化している。ガスパイプラインのアジア転換という難題にロシアは直面している。
(2)西側からの輸入が制限され、ロシア国内は広範な供給不足に陥っている。
(3)ロシアの国内生産は行き詰まり、失われた企業や製品、人材を置き換える能力に欠けている。国内のイノベーションと生産基盤は空洞化し、物価は高騰している。
(4)GDPの40%に相当する西側企業1000社以上、100万人の雇用を失い、30年間の海外投資がほぼなくなった。
(5)ロシア政府やロシア中央銀行による財政・金融介入は持続不可能だ。政府予算は赤字に転落し、外貨準備は枯渇しつつある。
(6)流動性と信用が低下している。ロシアは国際金融市場から切り離され、資金調達は制限されている。
英誌エコノミストは「ウクライナは軍事・テクノロジー・金融の要素が絡み合う21世紀型紛争の新時代を象徴している」と指摘している。「攻撃的な独裁国家に立ち向かうには、いくつかの面で行動を起こす必要がある。軍事力などのハードパワーは不可欠だ。民主主義国家はチョークポイントとなる敵への依存を減らさなければならない」という。
日本にとり台湾が「明日のウクライナ」になる危険性は高い。日本は防衛費をGDPの2%に引き上げ、原発再稼働でエネルギー自給率(20年で11%)を高めるとともに、有事に軍事転用できるテクノロジーに関して中国への露出を減らしていかなければならない。岸田文雄首相は戦力不保持をうたった現行憲法9条の改正を急ぎ、有事に備えるべきだ。