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ロシア侵攻から半年 ついに「大規模反攻」の勝負に出たウクライナの狙い
「プーチンの頭脳」と言われるロシアの極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリヤ氏の爆殺犯は「アゾフ大隊」のウクライナ人女性と断定しながら、ウクライナ独立記念日で侵攻から半年の節目に当たる8月24日、ロシア軍は目立った報復として、ウクライナ南部の鉄道駅にミサイル攻撃(2人の子供を含む25人死亡)を加えることしかできなかった。
「ヘルソンにおけるロシア軍の攻撃能力はさらに低下」
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は「ウクライナ軍南部作戦司令部によると、10人のロシア人破壊工作・偵察グループが8月27日にヘルソン州で襲撃作戦を試みた。10人の集団は分隊に相当し、機動部隊として効果的に活動するには小さすぎる。これが本当なら、ヘルソン州におけるロシア軍の攻撃能力がさらに低下していることを物語る」と指摘する。
ウクライナ戦争で活動を停止した露独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」のジャーナリストがつくった「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」はウクライナ国防情報部関係者の話として、現在クリミアでは10以上の破壊工作・偵察グループが中央の指揮下で活動していると報じている。戦闘員120〜150人と数人の指揮官やコーディネーターが含まれているという。
同紙は「クリミアへの攻撃が何度行われてもロシアからは何の反応もない。心理的な『レッドライン(ロシアが戦術核を使用すると脅してくるとみなされていた一線)』を見事に越えた」と指摘する。クリミアだけではない。ロシア国内のベルゴロド州、ブリャンスク州、クルスク州、ヤロスラヴリ州ロストフの兵站拠点への攻撃は今年春から続いている。
ウクライナ軍の死傷者は4万人とみられる一方で、ロシア軍の死傷は最大8万人とされる(米国防総省)。ロシア大統領府は8月25日、兵員不足を補うため、ロシア軍の定員を約13万7000人増やし、115万人超にする大統領令を発出し、そのための資金を提供するようロシア政府は指示された。
英国防情報部「現行法ではロシアの兵力は増強できない」
英国防情報部は「より多くの契約志願兵を募集するのか、あるいは徴兵制の年間目標を引き上げるのか、まだ不明だ。いずれにせよ現行法ではウクライナにおけるロシアの戦闘力を実質的に増強できないだろう。契約志願兵はほとんど新規採用されておらず、徴収兵にはロシア国外での兵役義務がないからだ」とツイートしている。
軍事に詳しいシンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のシダールト・カウシャル研究員は「ロシアには軍隊経験者が約160万人いる。大量失業で兵役に就くことを望む人はさらに増えるだろう。しかし大量の新兵を訓練するのは困難だ。数年に及ぶ長期戦を戦えるかは、ウクライナに残存する正規部隊を温存できるかどうかにかかっている」と分析する。