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フィンランドの36歳女性首相が、独裁者プーチンの恫喝に「ひるまない」わけ
報告書は「ロシアが始めた戦争は欧州全体の安全保障と安定を危うくする」と指摘し「フィンランドは自国に対してのみ軍事力が行使される不測の事態にも備えている。ウクライナに対する軍事行動は、高い即応性、持続的な軍事的圧力に対抗する能力、複数の同時戦線における大規模な攻撃を撃退する能力が重要であることを示している」と強調した。
NATO加盟申請をした場合「ロシア国境における緊張の高まりなど予測困難なリスクに備える必要がある。広範囲に及ぶハイブリッド攻撃のターゲットになることへの備えを強化しなければならない」と呼びかける一方で「フィンランドとスウェーデンが加盟すれば、バルト海地域で(ロシア軍が)軍事力を行使する敷居は高くなり、地域の安定は高まる」と記した。
厳密に言えば「中立」ではないフィンランドとスウェーデン
4月に入って、ロシア軍機がフィンランド領空を侵犯し、フィンランド外務省や国防省のウェブサイトがサイバー攻撃を受けた。広範囲のハイブリッド攻撃としてフィンランドは、サイバー攻撃やクリミア併合を強行したのと同じ「リトル・グリーンメン」部隊による侵略開始、化学兵器や低威力核兵器の使用も想定している。
目前に迫る危機に、フィンランド議会の状況も変わる。NATO加盟に反対していた主要政党の中央党も社会民主党もその方針を見直しつつある。反対を続けているのは左翼同盟だけだが、NATO加盟申請を巡る議会での意思決定プロセスはまだ定まっていない。過半数でいいのか、それとも3分の2の賛成が必要なのか、憲法委員会が判断しなければならない。
欧州連合(EU)加盟国のフィンランドとスウェーデンは厳密に言えば「中立」ではない。1994年、NATOの「平和のためのパートナーシップ」に加わり、バルカン半島、アフガニスタン、イラクでのNATO主導の作戦やミッションに貢献してきた。ウクライナ侵攻後、NATOは両国との協力関係を加速させている。両国はNATOの演習にも参加する。
ウクライナ侵攻後、ロシアの恫喝にマリン氏はブレない。「国際法および欧州の安全保障の基本原則に対する重大な違反だ。わが国はウクライナの領土保全と主権を侵害するロシアの一方的な行動を非難する。近隣に自国の権益圏を広げたいロシアの野望は明らかだ」(2月22日、ロシアがウクライナ東部の親露派支配地域の独立を承認した後、フィンランド議会で)
「フィンランドも独立のために戦った歴史がある」
「ロシアの敵対行為の結果、多くのフィンランド人のNATOに対する見方は変わった。この問題は3月1日からフィンランド議会で審議される」(2月28日、アサルトライフル2500丁、弾倉15万個、対戦車ミサイル1500発をウクライナに提供することを発表。エストニアがフィンランドから購入した大砲をウクライナに移送することも許可)