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フィンランドの36歳女性首相が、独裁者プーチンの恫喝に「ひるまない」わけ
フィンランドのサンナ・マリン首相 Paul Wennerholm/TT News Agency/via REUTERS
<ロシアのウクライナ侵攻を受けて、NATO加盟に前進するフィンランドとスウェーデン。両国の危機感と安全保障を、その歴史から紐解く>
[ロンドン発]「いつまでに決断するかというタイムテーブルは示さない。しかし、かなり早く決定される。数カ月ではなく、数週間以内に」──フィンランドのサンナ・マリン首相(36)は13日、ストックホルムで行われたスウェーデンのマグダレナ・アンデション首相(55)との共同記者会見で毅然とした表情を見せ、こう語った。
ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、軍事的中立を掲げてきた北欧2カ国の女性首相は北大西洋条約機構(NATO)加盟にそろって意欲を見せた。両国は今年6月にもマドリードで開催されるNATO首脳会議までに加盟申請するとの観測が強まる。中でもロシアと1300キロメートルの国境を接するフィンランドの危機感は国境を接しないスウェーデンより強い。
独裁者ウラジーミル・プーチン露大統領が侵攻に踏み切るまで、マリン氏は「来年初頭に会期が終わる今議会にNATO加盟申請を提出する可能性は否定しないが、極めて低い」と慎重な姿勢を見せていた。しかし共同記者会見では「ロシアがウクライナに侵攻したことですべてが変わった」と自国を取り巻く安全保障環境が一変したことを強調した。
マリン氏は「フィンランド議会議員の幅広いコンセンサスを得ることが重要だ。加盟申請するも申請しないもリスクがある」としながらも「NATOの5条が保証する抑止力と集団防衛の下で安全保障を確保すること以上の方法はない」と言い切った。アンデンション氏も「歴史上極めて重要な時期。2月24日の前後で状況は激変した」と同調した。
NATO加盟支持率は5年前に比べ41ポイントもハネ上がった
フィンランド国営放送、YLEが3月9~11日に実施した世論調査によると、NATO加盟を支持する人は2017年当時より41ポイントも増えて62%、支持しない人はわずか16%に減った。首相や大統領が支持した場合、加盟支持率は74%に、スウェーデンが加盟申請した場合は77%にハネ上がっていた。別の世論調査では41%が夏までに決断すべきと答えた。
フィンランドでは2008年にロシアがジョージア(旧グルジア)に侵攻するまで国民の半数がフィンランドは軍事的脅威に直面していないと感じていた。しかし今、この割合は10人に1人まで下がっている。マリン政権はNATO加盟申請の是非を審議するたたき台として「安全保障環境の変化に関する政府報告書」を議会に提出した。