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厳しい入場制限で市民団体を排除、COP26は史上最悪の密室交渉
COP26の登録者は政府代表団2万2274人、環境、学術、先住民族、気候正義、女性、若者団体などオブザーバー1万4124人、メディア3886人だ。シャルマCOP26議長は「温暖化に脆弱な途上国から開催を求める強い要望があった。すごい数の登録があり、会議へのアクセスとコロナ対策のバランスを取っている」との苦しい弁明を繰り返す。
「傍聴席に市民団体がいないと対策に消極的な国を勢い付かせる」
しかし、環境保護団体の関係者は「英政府はコロナ対策、コロナ対策というが市民団体の会議傍聴があまりにも制限されているという声が上がっている。傍聴席で市民団体がしっかり監視しないと温暖化対策に消極的な国々を勢い付かせ、悲惨な結果をもたらす恐れがある」と打ち明ける。
毎日大勢の人々がCOP26の会場に参集しているため、コロナが再拡大するのではないかとの懸念もくすぶる。
スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は筆者の質問に「最善を尽くしている。これまでのところ迅速検査で陽性となった割合は非常に小さく、約0.1%に過ぎない。今回のパンデミックではスコットランドでの陽性者数を毎日報告しているが、COP26が始まってからスコットランドでの症例数に大きな増加は見られない」と答えた。
ZOOMで筆者の質問に答えるニコラ・スタージョン・スコットランド自治政府首相(同)
「今のところデータ上ではCOP26に起因する、あるいはCOP26に関連するコロナ感染症の数に大きな影響は見られない。すべての人に適切なガイドラインに従うよう引き続き呼びかけていく。スコットランドでは屋内の公共の場ではマスクを着用する必要がある。会場内の政府代表団しか入れないエリアでは特別なルールも設けている」という。
厳格なコロナ対策は検査陽性率を約0.1%(ちなみに東京五輪の選手や大会関係者らの陽性率は0・02%だった)に抑えているものの、市民団体の不満を膨張させている。COP26を成功に導くためには市民団体の後押しが不可欠だ。COP26終盤に向け、どのようにして市民団体を味方に付けられるのか、英政府にもUNFCCCにも知恵と工夫が求められている。