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五輪強行の一方、コロナ対策では菅政権の周回遅れ感が半端ない
東京都の入院患者は3351人、重症患者は112人。いずれも今年1月のピーク時の3427人、159人に近づいている。そんな時に、いくら重症患者や重症化リスク者の病床を確保するためとは言え「医療アクセスを絞る」というメッセージを国民向けに直接発信すれば不安を増幅させるだけだ。「五輪なんか開くからだ」という都民の怨嗟の声が聞こえてくる。
東京都の倍加時間は新規感染者数が9日間、入院患者数が1カ月弱だ。東京五輪・パラリンピックを今さら中止しようがしまいが医療が崩壊する危険性は十分にある。
日本とイギリスの病院で看護師として働いた経験を持つ外資系コンサルティング会社ZSアソシエイツのグローバル医療経済(HEOR)マネジャー、吉田恵美子氏はこう語る。
「医師ではなく、患者自身が判断しなくてはいけない状況に置かれるとしたら、それはおかしい。コロナ下で試されているのは日本のすべての医療資源を、診療科や病院、都道府県の垣根を越えて活用してコロナ患者の受け入れ態勢を整えられるかということではないか」
医療資源の有効活用がカギ
「日本はOCED(経済協力開発機構)諸国の中でも病床数が多く、もし協力してコロナ専門病院を作ることができればコロナ病床も十分な数を準備できるはずだが、現状のように大きくない病院が少しずつコロナ病床を持っているという状況は誰にとってもよくない。コロナ病院をつくってしまうのは、一つの最善の策だと思う」
「コロナ専門病院があればもう少し効率的にコロナ患者を受け入れ、管理することができるはずだ。日本は全体的な病床数が不足しているのではなくて有効分配ができていないと理解している」
「日本は英国に比べて医療データがなかなか表に出てこないし、個人情報保護法などが壁になってデータの活用もまだまだ進んでいない。すでにある制度を実行に移すのが精一杯で、コロナのような新しい医療の危機に対処するための制度を迅速に計画し、アレンジできないところに日本の医療制度の根本的な問題があると感じている」
メディアも木を見て森を見ず批判だけをしており、もっと全体を見渡して限られた医療資源を有効に活用する仕組みを構築することがまさに火急の課題であることは言うまでもない。