コラム

ワクチン接種のおかげで規制解除できても「長期化するコロナ」が大量発生する恐れ

2021年07月13日(火)11時11分

ロング・コビットにかかっていても見た目は何も変わらないため、周囲の理解や協力を得にくいという問題がある。しかも完全に回復するまでに「2~3年はかかる」(アルトマン教授)という。血液検査でロング・コビットと診断ができれば専門医にも診てもらいやすくなるし、社会保障も申請しやすくなる。

ワクチン接種で正常化できたとしてもコロナ危機が終わるわけでは決してない。毎年の死者をインフルエンザ並みにすることができたとしても、アルファ(英変異)株やデルタ(インド変異)株に代わる新たな変異株が出現してくる恐れは否定できない。コロナやロング・コビットの治療方法もまだ見つかっていないのだ。

ジョンソン首相は法的規制解除後も公共交通機関など3密空間でのマスク着用、ナイトクラブや大規模会場でのワクチン接種・陰性・抗体保有を証明するパスの利用を促した。職場復帰も時間をかけて進めるガイダンスを設けた。グローバリゼーションによる環境破壊で新興感染症が爆発する世紀に突入し、私たちはただ次のフェーズに移っただけなのかもしれない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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