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日立車両の亀裂問題とイギリスの「国鉄復活」
シャップス運輸相は昨年1月、イングランド北部の運行会社ノーザンを再国有化すると発表。ノーザン社はインフラ投資が滞り、ダイヤの乱れ、サービスの低下、ストの多発、週末の運休が相次ぎ、利用者の不満が膨らんでいた。鉄道再国有化は最大野党・労働党の強硬左派ジェレミー・コービン前党首が唱えていた目玉政策だっただけに、サッチャー革命以来続いてきた保守党の「民営化」「小さな政府」路線の大転換を印象付けた。
今回の改革案ではサービスの差別化を図れなくなると反発する運行会社もある一方で、コロナ危機による利用者激減で首が回らなくなっていた運行会社にとっては渡りに船だったようだ。ネットワーク・レール社は2023年にGBRに置き換えられる。切符のデジタル化や温暖化対策を進める意味でも一元化は必要だった。
これに対して日本の国鉄民営化は地域分割で運行とインフラは一体管理している。黒字路線や駅ナカ事業で儲けた資金を研究開発やインフラへの投資に充て、サービス向上に努めてきた。JR各社は民営化されたと言っても「国民の交通インフラを守る」という良い意味での"国鉄魂"が受け継がれている。しかしコロナ赤字でJR北海道とJR四国の経営はさらに苦しくなっており、日本の民営化もイギリス同様、再編を迫られるかもしれない。