コラム

マスク姿で登場したトランプ米大統領とジョンソン英首相 笑うに笑えぬアングロサクソンの凋落

2020年07月13日(月)12時20分

自由を何よりも重んじるアングロサクソン国家のマスク着用率はアジアや欧州に比べると最も低い。

マスク着用を率先したアジア

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中国の習近平国家主席は2月10日、外科用マスクを着用して北京の病院を訪問、ビデオリンクを通じてエピセンター(発生源)となった湖北省武漢市の医療従事者を視察した。香港、中国、台湾を筆頭にアジアのマスク着用率は80~90%に達している。

日本の安倍晋三首相は3月31日、マスクを着用して経済財政諮問会議に出席。4月1日の新型コロナウイルス感染症対策本部で全国5000万余りの全世帯を対象に洗って何度も使える布マスク(いわゆるアベノマスク)を2枚ずつ配布すると表明した。

インドのナレンドラ・モディ首相は4月11日、布マスクで口を覆って閣僚たちとのテレビ会議に出席。アジアの「ストロングマン」はアングロサクソン国家と違い、マスク着用の先頭に立ち、中国を筆頭とするアジアの時代の到来を実感させた。

アングロサクソンとアジアの中間に位置する欧州

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アメリカと中国と距離を起き、第三極を目指す欧州はマスク着用率でもアングロサクソンとアジアのちょうど中間という感じだ。

中国の医療支援を受けたイタリアのジュゼッペ・コンテ首相は4月21日、下院にマスクを着用して現れた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は3月25日、軍の野外病院を訪れる際、マスクを着用した。一方、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がマスクを着用して登場したのは7月に入ってからと意外に遅い。

経済を再開させるため渋々、マスクを着用した米英両首脳の姿は個人の自由と利益を成長と繁栄の原動力に2世紀にわたって世界を主導してきたアングロサクソンの時代が幕を下ろしたことを印象づける。

そして11月に近づく米大統領選が現職のトランプ大統領vs民主党大統領候補ジョー・バイデン前副大統領の戦いではなく、トランプかそうでないかという究極の選択に過ぎないことを私たちに突き付ける。

存在感のないバイデン氏は認知症と考える人が最近の世論調査で共和党支持者を中心に38%にものぼっている。新型コロナウイルスの死者数を比べるまでもなく、これでアメリカが中国に勝てるとしたら奇跡以外の何物でもない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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