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抜き打ち解散を宣言したメイ英首相の打算(付表:欧州詳細日程)
選挙予測サイトElectoral Calculusを主宰するマーティン・バクスターが今年3月10日から27日にかけ1万972人を対象に調査したところ、今、総選挙を行えば保守党は50議席増の381議席、労働党は50議席減の182議席になるという結果が出た。単独政権とは言うものの、党内から9人造反が出ると重要法案も通らない薄氷の政権運営を強いられていたメイは、超ハードコアの党内強硬派に鼻面を引き回されるのを防ぐため、離脱交渉に向けて政権基盤を強化する必要に迫られていた。
一方、フランス大統領選の1回目投票が今月23日に迫る中、メイの抜き打ち解散・総選挙の発表は、右翼ナショナリスト政党・国民戦線党首マリーヌ・ルペンや急進左派の左翼党ジャン=リュック・メランションらEU懐疑派を勢いづける恐れが十分にある。欧州の政治日程をおさらいしておこう。
2017年
3月29日、メイがEU大統領トゥスクに離脱交渉の開始を通告
4月18日、メイが解散・総選挙を緊急発表
4月23日、フランス大統領選第1回投票。EU統合推進派の中道政治運動「前進!」率いる前経済産業デジタル相エマニュエル・マクロンと、EU離脱国民投票の実施を公約にするルペン、EUとの再交渉が決裂すれば離脱と公言するメランションが三つ巴の争い
4月29日、イギリスを除く27カ国でEU首脳会議を開催。欧州委員会にイギリスとの交渉を任せることで合意へ
5月3日、イギリス下院を解散
5月7日、フランス大統領選の決選投票。マクロンが勝てば、離脱交渉はイギリスにとって厳しくなる。メランションやルペンが大統領になれば単一通貨ユーロやEUは崩壊に向かう恐れ
5~6月、離脱交渉の開始
6月8日、イギリス総選挙の投票
9月24日、ドイツ総選挙で首相アンゲラ・メルケル率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が4選を果たすかどうかが最大のポイント。ライバルの社会民主党(SPD)は前欧州議会議長マルティン・シュルツが党首になってからメルケルを追撃するが、3月26日の南西部ザールラント州議会選ではCDUが勝利を収める
2017年秋、メイ政権がEU法を国内法に落とし込む法整備に着手
2018年
10月、離脱交渉を終了
10月~、イギリス議会、EU首脳会議、欧州議会が離脱交渉の結果について採決
2019年
3月、イギリスがEUから離脱
2020年5月、当初予定されていたイギリス総選挙の日程
2022年6月、メイの解散表明で設定された次の議会期終了