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極右、トランプという暗黒が生んだフランスの新星マクロンの魅力とは
オランドの側近を務め、経済・産業・デジタル相時代には「経済の成長と活性のための法律案(マクロン法)」を提出した。投資と技術革新を促進するほか、長距離バス路線開設の自由化、商業施設の日曜・深夜営業の拡張など身近な規制緩和策も盛り込まれた。
しかし自由主義経済的な規制緩和策が含まれていたため、社会党内からも多くの反対意見を浴びせられた。昨年4月に「前進!」を立ち上げ、経済・産業・デジタル相を辞任した後、11月に大統領選への出馬を表明した。右でも左でもなく、前に進もうというのが彼の政治信条だ。
投資銀行のバンカー時代に世界最大の食品会社ネスレによる米製薬会社ファイザーのベビー食品部門の買収を手掛け、巨額の富を手にしたことから、ロシア・メディアは「アメリカの巨大銀行システムの手先」という仏保守系政治家の言葉を引用してマクロンを執拗に攻撃する。
親露派のフィヨンやプーチン崇拝を隠そうともしないルペンを利するためだ。一方、コスモポリタンでグローバル主義者、そして社会主義者でもあるという矛盾こそがマクロンの魅力なのだ。
欧州の光になるか
ソーシャル・リベラルのマクロンはブレアのように新自由主義(ネオリベラリズム)で税収を増やし、医療や教育などの社会政策を充実させる「第三の道」をフランスで実現しようとしている。
マクロンはルペン率いる国民戦線やアメリカの大統領ドナルド・トランプの唱える「米国第一主義」という暗黒から生まれた一筋の光明である。保護主義や移民・難民排斥を唱えれば失業者や低所得者層の鬱憤晴らしになるかもしれないが、先進国が抱える根本的な問題は何一つ解決しない。
マクロンがフィヨンを退けて決選投票に進出し、ルペンを破ることができれば、フランスだけでなく絶体絶命の欧州を明るく照らす光になる可能性を秘めている。