韓国政府が手厚い子育て支援策を決めたが、出生率向上は今度も難しい?
韓国でも少子化は深刻な問題だ Kim Hong-Ji-REUTERS
<1991年から子育て世代の支援制度を拡充してきた韓国でも出生率の低下には歯止めがかからない。未婚化、晩婚化を止める施策が必要だ>
韓国政府は12月15日、2021年から2025年までの人口政策の基盤になる「第4次少子・高齢社会基本計画」を国務会議で確定した。韓国政府は子育てに必要な費用を支援し、出生率を引き上げるために2022年から0~1歳の乳児を育てるすべての親に対して月30万ウォンの「乳児手当」を支給することを決めた。また、手当の金額を2025年までに50万ウォンに引き上げる方針である。
さらに、2022年からは出産時に200万ウォンを一時金として支給する制度を新設するほか、男性の育児参加を奨励するために、満1歳未満の子供を持つ両親が3カ月ずつ育児休業を取得した場合、双方に月最大300万ウォンの休業給付金を支払う計画である。
実際、最近、韓国では育児休業を取得する男性が増加している傾向にある。2002年に104人で全育児休業取得者の1.5%に過ぎなかった男性の割合は、2019年には22,297人で21.2%まで上昇した。
男性の育児休業取得者が増えた理由としては、女性の労働市場参加の増加や育児に対する男性の意識変化等の要因もあるものの、最も影響を与えたのは韓国政府が2014年10月に男性の育児休業取得を奨励するために導入した「パパ育児休業ボーナス制度」の効果ではないかと考えられる。
「パパ育児休業ボーナス制度」とは、同じ子どもを対象に2 番目に育児休業を取得する親(90%は男性)に、最初3カ月間は育児休業給付金を通常賃金 の100%を支給する制度である 。また「パパ育児休業ボーナス制度」の支給上限額は育児休業給付金の上限額より高い1カ月250 万ウォンに設定されている。このように、育児休業を取得しても高い給与が支払われるので、中小企業で働いている子育て男性労働者を中心に「パパ育児休業ボーナス制度」を利用して育児休業を取得した人が増加したと考えられる。
■男女別育児休業取得者と男性が占める割合
出所)雇用労働部(雇用保険DB資料)から筆者作成
この筆者のコラム
少子化が深刻な韓国で育児休業パパが急増している理由 2022.06.30
深刻化する韓国の貧困と所得格差 2022.06.02
韓国で1日あたりの新規感染者数が60万人を超えた理由 2022.03.29
【韓国大統領選】李在明と尹錫悦の経済政策、不動産政策、労働政策を比較する 2022.02.21
北京五輪が韓国与党の大ブレーキに?韓国大統領選まであと1カ月 2022.02.10
安哲秀氏との候補一本化に成功し、韓国の次期大統領になるのは誰か 2022.02.03
韓国大統領選、尹錫悦候補の支持率はなぜ再上昇できたのか 2022.01.27