コラム

鬱憤社会、韓国:なぜ多くの韓国人、特に若者は鬱憤を感じることになったのか?

2019年11月11日(月)17時50分

公正な社会を実現し、鬱憤を解消するための対策を

現在、韓国社会は経済や意識などの多様な分野で二極化が進んでいる。安定的な仕事は減り、ソウルと地方、大企業と中小企業、正規労働者と非正規労働者などの間に格差が残存している。ソウルで住みたい、大企業で働きたい、正規職になりたいと思っても自分の希望通りにはできないことが多い。努力をしても報われない多くの若者が冷酷な現実を批判しながら、鬱憤を感じている。

世の中は公正だと思い、生まれ付きの不公正さを乗り越えるために多くの若者が努力している。社会では平等な機会が与えられ、不正をする人は処罰されると思いながら頑張る。しかしながら、社会は若者が思ったように公正ではない。生まれ付きの不公正さが残存し、より大きい壁にぶつかる。親の社会的地位や能力が子どもの将来に大きく係る。多くの若者が現実を批判しても話を聞いてくれる人がいない。怒りがたまり、鬱憤という心の病気になってしまう。これが現在の韓国の若者が直面している現状である。

皆が上位20%や上位1%になることはできない。しかしながら80%や99%に属していても、機会の平等があり、自分が努力したことが報われればそれは公正な社会に近いであるだろう。若者が望む公正な社会を実現するために、また若者の鬱憤を解消するために何をすべきかを韓国政府は慎重に検討する必要がある。

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プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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