文在寅支持層が女子アイスホッケー合同チームに反発する理由
女子アイスホッケーチームを訪れた文在寅大統領 Yonhap via REUTERS
「まるで平昌(ピョンチャン)五輪ではなく、平壌(ピョンヤン)五輪」
と言ったのは韓国保守派・自由韓国党の国会議員であるナ・ギョンウォンである。
2月9日から開催される平昌冬季五輪で予定されている、南北朝鮮の合同入場ほか、北朝鮮応援団の派遣、女子アイスホッケーの南北合同チームの結成などを皮肉った言葉だ。
政府の対応に20-30代が反発
進歩政党による政権が北朝鮮に対して融和政策を展開すると、保守野党が「北朝鮮に服従している」などと揶揄するのは常につきものだ。しかし今回はいつもとは違った世論の反応が見られている。平昌五輪への北朝鮮参加に対する政府の対応に、文在寅大統領の支持層である20-30代が反発しているというのだ。
韓国ギャラップ社の世論調査(2月2日)によると、女子アイスホッケーの合同チーム結成について、肯定する回答は40%、否定が50%、20代に絞ると62%が否定的な意見だった。
この問題の背景を理解するにおいて、まず知っておくべきは、なぜ南北融和が必要なのかという問題である。
言うまでもないが、朝鮮半島は現在も休戦状態にある。南北の離散家族は200万人以上とされており、南北間では自由な往来はおろか、電話や手紙のやりとりも不可能だ。ちなみに日本と北朝鮮でさえ、電話や手紙のやり取りは連絡先さえ知っていれば基本的に可能だ。
休戦ラインを抱えるため南北は莫大な軍事・防衛のための予算を費やし、徴兵制によって未来ある青年たちが軍隊での生活を余儀なくされている。政治・経済・社会的損失は想像に易いだろう。
文在寅が北朝鮮に対して対話路線であることは、周知の事実であり、大統領選で彼に一票投じた人たちが知らなかった話ではない。では、なぜ彼らは反発したのだろうか。
女子アイスホッケーの合同チームに反発
若い層が反発しているのは、女子アイスホッケーの合同チームが組まれることについてである。ちなみに前出の世論調査で、南北の合同入場に関しては肯定が53%否定が39%で肯定派が多く、20-30代でもやはり肯定する回答が多かった(肯定50%、否定37%)。つまり五輪の場で、南北平和をアピールすることに対して反発するわけではないのだ。
開催まで一カ月足らずの時期に合同チームが決まったため、選手の立場としてはチームワークを培ってきたこれまでの苦労が損なわれるだけでなく、出場選手も減らされてしまう。特例で南北チームに関してはベンチ入りする人数を増やしたが、これもスポーツにおけるフェア精神に欠けるのではないかという指摘もある。
つまりスポーツ選手が優先されるべき五輪の場で、文政権は政治を優先しているのではないかという疑問が生じているのだ。
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