コラム

【総選挙】自民党と立憲民主党の「経済/外交/政治改革」の政策比較で分かった「異例」の現象

2024年10月18日(金)17時02分

実際、自民党の公約と立憲民主党の公約を比較すると、立憲が政治改革に対してより踏み込んだ提言を行っていることや、自民党内で異論が出ている選択的夫婦別姓を前面に押し出していることなどを除けば、それほど大きな違いは見当たらない。石破政権も大学の無償化や地方創生という項目を掲げているので、一見すると、どちらの公約なのか分からないくらいだ。

賃上げについてもほぼ違いなし

経済政策という点において両党とも最低賃金1500円という数字を掲げたところも興味深い。最低賃金については岸田政権が2030年代半ばまでに1500円を実現するとしていたが、石破政権はこれをさらに前倒しし、20年代に全国平均で1500円という思い切った数字を出してきた。これによって賃上げ政策における両党の違いはほぼ消滅しつつある。


外交・安全保障についても、所信表明にこそ盛り込まなかったものの、石破氏はアジア版NATO創設が持論であり、その実現可能性はともかくとして、アジアとの連携を軸に日米同盟を強化させる方向性を示している。立憲民主党も外交・安全保障分野においては、日米同盟を基軸とした上でアジア太平洋地域との連携強化をうたっている。大まかな方向性という点ではかなり近くなったとみてよいだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

加たばこ訴訟で240億米ドルの和解案、フィリップモ

ビジネス

インフレ下振れリスクを注視、政策選択肢はオープン=

ワールド

ロシア、「BRICS穀物取引所」の創設提案 価格決

ワールド

北朝鮮部隊のロシア派遣、安全保障上の重大な脅威=韓
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くその正体
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 5
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 6
    ナチス・ドイツの遺物が屋根裏部屋に眠っていた...そ…
  • 7
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 8
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパ…
  • 9
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 10
    【クイズ】シュークリームの「シュー」はどういう意…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相
  • 4
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 7
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 8
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパ…
  • 9
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 10
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 5
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 6
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story