最低賃金の引き上げが、実は「企業のため」にもなる理由...労働者の生活を守るだけではない「意味」
日本企業が放置してきた問題を強制的に正すプレッシャーに
一方、企業の競争力強化という点でも、今回の引き上げには意味がある。
企業は高賃金を提示しなければ有能な人材は確保できない。経済が健全に機能し、市場メカニズムが適正に働いていれば、最低賃金制度がなくても自動的に賃金は上がっていく。実際、ドイツはつい最近まで最低賃金が存在していなかったが、日本より圧倒的に高い賃金を実現できていた。
だが日本の大手企業は長年、現状維持に終始して業績拡大努力を怠っており、異様な低賃金が放置され続けてきた。こうした環境下では最低賃金を引き上げることで企業のコストを強制的に増やし、より高い付加価値を生み出すようプレッシャーをかける手法は有効である。
2024年9月17日/24日号(9月10日発売)は「ニュースが分かる ユダヤ超入門」特集。ユダヤ人とは何なのか/なぜ世界に離散したのか/優秀な人材を輩出してきたのはなぜか…ユダヤを知れば世界が分かる
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
総裁選、そして総選挙へ...国民が注目すべき「経済政策」の論点とは? 2024.09.11
インフレと金利上昇で揺れる不動産市場...「持ち家」「賃貸」論争に変化の兆し? 2024.08.30
史上最大の「株価急落」を、日銀はなぜ許した? 「根本的な原因」を読み解く 2024.08.22