コラム

日本のGDP「4位転落」は危機的状況...最大の問題は、「一喜一憂する必要なし」という認識の甘さだ

2024年03月15日(金)11時00分

購買力平価という「別のモノサシ」を持ち出す間違い

もし経済界が主張しているように、購買力平価で全てを評価するのであれば、「かつて日本の1人当たりGDPは主要先進国の中でトップだった」といった類いの話は全て否定されてしまう。

これまで日本の産業界は全て名目値で議論してきたはずであり、都合が悪くなると別のモノサシを使うというのは、文明国家としてあってはならないことである。

資本主義社会では、経済界が状況を正確に認識する一方、政府の認識が甘いという事態がよく発生するが、今の日本はまったく逆の状態となっている。社会をリードすべき経済界がこの状況では成長など望むべくもない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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