財源や安全保障だけではない...政府の「NTT株売却」問題が、「国民生活」にも大きく関係する理由
完全民営化によって料金引き上げの可能性も
同社グループはもはやドメスティックな通信会社という位置付けであり、世界に打って出るどころか、現状維持に汲々(きゅうきゅう)としている。現在の同社にはGAFAなどグローバル企業と対等に戦う能力はないと考えたほうがよい。
さらに言えば、近年は日本経済の貧困化が著しく、多くの国民が携帯電話の料金を支払うことすらままならない状況となっている。そうであればこそ政府は通信会社各社に対して料金の引き下げを要請したともいえる。
完全民営化が行われれば、収益を上げるために料金の引き上げが行われる可能性もあり、そうなれば、政府の料金引き下げ政策と矛盾してしまう。近年、自然災害の多発や、人口減少に伴う限界集落の増加など、最低限の通信サービスを維持することすら難しい状況となりつつある。
通信サービスをめぐる状況は複雑化しており、単純に財源と経済安保だけで判断すべきではない。もっと包括的な議論を行うべきだろう。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される 2024.10.30
【総選挙】自民党と立憲民主党の「経済/外交/政治改革」の政策比較で分かった「異例」の現象 2024.10.18