もう元には戻れない日本経済...崩壊したコロナ以前の「前提」と、来るべき未来の姿とは?
薄利多売ビジネスが維持できた要因
これまでの日本社会は、労働者に対して低賃金、長時間労働という滅私奉公を要求する代わりに、物価が安く、ギリギリで持ち家を買える環境を提供するという、ある種の契約関係で成り立ってきた。これらは薄利多売の従来型ビジネスを維持することと表裏一体であり、ある意味で全員が共犯者となり、変化を拒む要因になっていたと見なすことができる。
だが世界経済は日本の事情とは関係なく成長を続けており、変化を拒絶したことで日本社会は急激に貧しくなった。一連の出来事は、個別要因で発生しているように見えるが、全ては水面下でつながっている。無理を重ねて現状維持を続けた社会が、コロナという感染症をきっかけに持ちこたえられなくなっているのだ。
このまま何も手を打たなければ、変化に適応できた一部の層とできなかった層に二極分化することは目に見えている。低付加価値で規模だけを追う従来型の資本主義から、高付加価値で質を追う新しい資本主義への転換が必要であり、これこそが岸田政権が目指す「新しい資本主義」ではないだろうか。
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