コラム

ウクライナでロシアとNATOは直接対峙するか?

2024年03月09日(土)14時20分

スウェーデン、フィンランドのNATO加盟で、バルト海でロシア海軍は劣勢となり、飛び地のカリーニングラードを守ることもおぼつかない。

ロシアは制裁を乗り切ったとうそぶいているが、2023年の経済成長3.6%という数字は、軍需生産の増加に多くを負う。石油・ガスの輸出収入は減少して、ルーブルは戦前より20%強減価し、労働力不足で賃金が跳ね上がって生産性上昇を超えている。これはインフレを悪化させるだろう。

 
 

パリでのウクライナ支援ハイレベル会議では、ウクライナに陸上兵力を送ることも提起されたようだが、アメリカ、ドイツ、ポーランドなどはこれに乗らない。もし送ればロシアからのミサイル攻撃などを呼び、核兵器を使用させることにもなる。だからザルジニーが言っていたとおり、当面ウクライナは下がって守りを固めるだろう。

こうやってウクライナは持ちこたえ、西半分の地域の経済開発に努め、ロシアが擦り寄ってくるのを待つのが上策だ。まるで朝鮮戦争休戦後の韓国のように。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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