プリゴジン「謀殺」はロシアの未来にどう影響するのか?
しかし、ウクライナ軍が多方面で攻勢を開始した6月4日、局面は変わる。これからはロシア軍の出番で、ワグネルはもう不要。6月11日にショイグは、6月末までに傭兵を軍本体に吸収する布告を出した。
ここでプリゴジンとワグネルは、君側の奸であるショイグらを除かんと、モスクワへ強訴の行軍を始めたのだ。ワグネルは不要の域を超え厄介者、「何をするか分からない危険な存在」となった。プリゴジンはカネさえもらえば、要人暗殺もしただろう。
ということで、彼は8月23日に墜死する。クレムリンに都合の悪い者の墜死はソ連崩壊後、何度か起きている。プリゴジン事件でクレムリンが崩れる気配は、まだ見えない。ワグネルは政府からのカネが途絶えればもう成り立たない。
怪僧ラスプーチンがエリート層に疎まれて暗殺されたのが1916年12月。ロシア帝国はその後1年ももたずに革命で倒され、国は内戦の混乱に陥っている。「ラスプーチン」はロシア語で崩壊を意味する。「追従」を意味するプリゴジンの死は、ラスプーチンほどの意味を持つかどうか。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01