日本とASEANの複雑な50年
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インドネシアを訪問した天皇・皇后両陛下 WILLY KURNIAWAN-POOL-REUTERS
<経済発展を遂げたASEANはもう日本は落ち目と考え、中国と西側を二股にかけて独自の路線を行く>
天皇・皇后両陛下の初外遊であるインドネシア訪問が終わった。若い世代の交流を呼び掛けることができてよかったが、でもなぜインドネシア、それもインドネシアだけなのだろう? 調べてみると、今年は日本・ASEAN友好50周年。そしてインドネシアは今年、ASEANの議長国だ。天皇は政治行為ができないので、この点は宣伝を抑えたのだろう。
あまり意識されないが、ASEANは戦後の日本外交の重要な舞台だった。日本軍はほぼ軒並みにこの地域に進軍しているから、戦後はまず賠償の問題があった。賠償、そして賠償に代わる経済協力の交渉が全て決着するまで20年余りかかっている。
当時の東南アジア諸国は日本にとって、戦後失われた中国市場に代わる存在だった。アメリカもベトナム戦争以外では、世界の最貧国扱いを受けるこれら諸国に関心を払うことはなく、東南アジアは日本にとって自前の外交を展開する格好の場だった。
ASEANが結成されたのは1967年。米軍と戦う北ベトナムが、余勢を駆ってタイなどの東南アジア諸国を次々に共産化していく「ドミノ倒し論」が真剣に議論されていた時代だ。日本はこの地域にODA供与を拡大。日本企業も現地に工場を次々に建設し、経済を席巻していく。
77年、当時の福田赳夫首相が東南アジア諸国を歴訪して「福田ドクトリン」を発表。日本は上から目線の援助や投資をやめ、東南アジア諸国の人たちの生活向上のために投資・経済援助をしていく決意を表明した。東南アジア諸国に対する日本のODA供与累積額は1650億ドル、ASEAN諸国への企業の年間直接投資額は対中国の約3倍に上り、その発展を大いに助けてきた。
筆者が初めて東南アジアを旅行したのは75年頃だった。タイの首都バンコク郊外は日本の終戦直後のような未舗装のほこりっぽい道が続き、カンボジアの地方では90年代半ばになっても、人々は籐で編んだ風通しのいい小屋に住んでいた。それが今ではASEAN全体で人口6億7000万人、GDP3兆ドルの堂々たる存在になっている。
「落ち目」の日本よりも中国
日本の努力が実ってASEANは自由・民主主義陣営、そして「自由で開かれたインド太平洋地域」の重要メンバーになってくれる――と思いたいところだが、現実はそれほどセンチメンタルではない。ASEAN人士は自力で偉くなった、日本はもう落ち目だと思い込んでいる。そして何かと民主化や国内利権の浄化を要求してくるアメリカより、気前よく資金を出してくれる中国を選ぶ。中国の政治的圧力を恐れているのはベトナムとフィリピンくらいのものだが、それでも中国と西側に二股をかける。
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