コラム

どっちもどっちな日本学術会議と政府の明治時代から続く相克の歴史

2020年10月14日(水)11時00分

しかし国会の野党議員はもちろんのこと、国立大学の教員にも言論の自由がある。裁判官も内閣に任命され(最高裁判事は天皇が任命)、行政府から俸給を受けているが、行政府によって罷免されることはない。学術会議の会員だけが「純正」公務員並みに言論を統制されるのか?

異論は政策を鍛えるものだ。学術会議まで役人扱いにしたら、日本は昔のソ連、今の中国以上に息が詰まる社会になる。この2カ国では、学者は比較的自由にものが言える存在なのだ。それに、そもそも役人が何でも決めるのを改めるのが、菅の「規制改革」ではなかったのか?

新政権発足早々、皆で議論する問題がこれでは、少々気が抜ける。どこか子供っぽい。気を付けないと安倍政権末期と同様、方向感、そしてシナリオを欠く政権となってしまうだろう。

<2020年10月20日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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