日米安保をトランプが破棄しない理由──日米にとって安保は「お得」な条約だ
次にホルムズ海峡がこれからずっと危険になるとは思わないが、自衛隊の護衛艦は既にアフリカのジブチを根拠地としてアデン湾で海賊対策をしているのだから、ホルムズ海峡にまでその活動範囲を広げればいい。中国やインドにも呼び掛けて、ホルムズ海峡を守る国際構想を日本が示せば、それはアメリカでの日本のイメージを一変させる。
思いやり予算も増額が必要だろう。2000億円は多額に見えるが、米国防費6391億ドル(約71兆円、18年度)に比べるとインパクトは弱い。ただ日本は思いやり予算増額の見返りをアメリカに要求するべきだ。日本がアメリカから戦闘機などの兵器を購入する際、技術情報を米側がもっと開示し、日本が事故防止や部品生産ができるようにしてもらう。そして北朝鮮などの核ミサイルを抑止する手段をもっと整備してもらうべきだ。
「日本を守る米軍を自衛隊は守らない」という不公平や、安保における対米依存は、アメリカに押し付けられたものではない。日本が集団的自衛権の行使を自らに禁じていたため生じた結果、つまり自縄自縛なのである。トランプの圧力を奇貨として日米安保を破棄するのでなく、もっと公明正大なものとし、それによって対米依存度を減らし、日本人としての自尊心も回復してはどうだろう。
<2019年7月16日号掲載>
※7月16日号(7月9日発売)は、誰も知らない場所でひと味違う旅を楽しみたい――そんなあなたに贈る「とっておきの世界旅50選」特集。知られざるイタリアの名所から、エコで豪華なホテル、冒険の秘境旅、沈船ダイビング、NY書店めぐり、ゾウを愛でるツアー、おいしい市場マップまで。「外国人の東京パーフェクトガイド」も収録。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
「またトラ」でウクライナ停戦が成立すれば、北朝鮮兵が平和維持軍に? 2024.11.12
中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない 2024.10.22
「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ! 2024.10.08
強権政治家、故フジモリ大統領を礼賛した日本社会のリーダー像 2024.09.26
テレグラムCEOドゥロフは、国境を突き破るIT巨人 2024.09.06
日本にキレるロシアには大人の対応を 2024.08.24
米経済の立て直しには「根本治療」が必要だ 2024.08.01