コラム

単刀直入さと英語とはったり、河野外交は官邸主導を変えるか

2018年01月20日(土)12時30分

パレスチナを支援するアラブ諸国、特にサウジアラビアは中東での覇権をイランと競うことに懸命で、最近ではイスラエルとひそかに関係を深めている。だとすれば、東京にパレスチナ、イスラエル、アラブ連盟、アメリカの当事者が集まって、「トランプ声明は和平への動きを覆すものではない」という一点で、当面の手打ちをするのも可能ではないか。

日本にこれができれば、「パレスチナに数千万ドルの経済援助を行う」とひっそり声明を出して、また世界から無視されるより、はるかに効果的な外交だ。

内政面で河野外相は9月の自民党総裁選挙に出馬する構えを崩していない。安倍首相としては彼にばかり花を持たせたくないだろうが、現実には外国で受ける日本人は国内では受けないものだ。いっそ釈迦のように落ち着いて、手のひらの上で孫悟空=河野外交を使うつもりになればいい。

下ごしらえは外相、花を持つのは首相、特に米中ロなどの大舞台は首相というすみ分けで、厚みのある外交、そして日本の「見える化」をしてほしい。

<本誌2018年1月23日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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