G7で日韓首脳会談を拒否したと威張る日本外交の失敗
G7の舞台コーンウォールに到着し、ジョンソン英首相夫妻に挨拶する韓国の文大統領夫妻 Peter Nicholls-REUTERS
<朴槿惠がかつて慰安婦合意で屈辱的譲歩を吞むことになったのも、外交舞台で日本との対話を頑なに拒否し続けた結果だった>
朴(槿惠)氏は6月に米国を訪問するが、同氏は米国による日韓関係の改善要求に備えなければならない。最高の結果は日本と韓国との2国間首脳会議となるだろう。
朴氏が最終的に日本との首脳会談に応じるなら、何の譲歩もなしに安倍氏と対話をすることになろう。朴氏が拒絶すれば、安倍氏の歴史修正主義ではなく、韓国とその頑固さが問題であるとの認識が一段と強まろう(ウォールストリート・ジャーナル, 2015/4/30)。
2015年のことである。
日韓関係はこの年も大きな行き詰まりを見せていた。はじまりは3年前の二つの国政選挙であった。即ち、2012年12月、時をほぼ同じくして行われた日韓両国の選挙にて、日本では安倍晋三が率いる自民党が大勝を収めて政権に復帰した。韓国では、朴槿惠が文在寅を僅差で破って大統領に当選し、翌年2月に控える自らの就任に備えて、その準備を活発化させた。
この様な状況の中、日本では来るべき朴槿惠政権が、悪化する日韓関係の改善の為に対話に乗り出すのではないか、という期待が高まっていた。安倍と朴槿惠の間には、安倍の祖父である岸信介と朴の父である朴正熙との間に始まる、長い私的交流の歴史もあったからである。
首脳会談拒否という悪手
しかしながら、朴槿惠は自らの正式な大統領就任の以前から、日本に対して冷淡な姿勢に終始した。即ち、朴槿惠は慰安婦問題の解決の為に日本政府が自ら動かないことを問題視し、この問題において韓国側が受け入れ可能な措置が講じられない限り、両国の関係改善は不可能だ、として強硬な姿勢に終始した。
そしてそこにおいて朴槿惠が取った手段の一つが、安倍との首脳会談拒否だった。朴槿惠は併せて、アメリカを始めとする各国に慰安婦問題をはじめとする歴史認識問題において、自らの主張を積極的にアピールした。この朴槿惠の行動が「告げ口外交」と呼ばれ、日本国内で忌み嫌われることとなったのは、未だ我々の記憶に新しい。
とはいえ、それは奇妙な反応であった。何故なら、この一連の朴槿惠の行動は、何れも日本に打撃を殆ど与えないものだったからである。アメリカを始めとする各国政府は、両国間に横渡る歴史認識問題そのものについて、特段の関心を有しておらず、故に朴槿惠のアピールがこれら諸国を動かすことはなかった。彼女が同時に行った日本との間の首脳会談拒否は、更に悪手であった。その理由は二つある。第一に韓国側による一方的な首脳会談拒否は、それが単に日韓関係における新たな問題の解決を遅らせるだけの効果しか持たず、日本側に対する具体的な圧力として全く機能しなかった。
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