コラム

【2+2】米中対立から距離を置く韓国、のめり込む日本

2021年03月22日(月)06時01分

そしてこの様な韓国の在り方は、米中対立の中で具体的な役割を積極的に引き受け、飽くまでアメリカとの関係の中で国際社会における立ち位置を確保しようとする日本とは大きく違っている。アメリカが大きく揺れ動く中、新たに確保した「待つ」というカードを封印し、その時々の要求に積極的に答え協力するのか、それとも、「待つ」というカードを積極的に行使して、その揺れ動く様を可能な限り距離を置いて暫く見守るのか。日韓両国の選択は大きく分かれていくのかもしれない。

国際社会が不安定さを増す中で、米韓関係もまた大きな変化の中にある。アメリカはその計算通り「大きくなった韓国」を対中包囲網に取り込むことができるのか。「トランプ政権の負の遺産」をも前にして、バイデン政権の手腕が問われることになりそうだ。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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