もしも韓国が仮想敵国だったら?
にも拘らず第二に、大法院判決からレーダー照射問題に至るまでの過程で、日韓両国、とりわけ日本の韓国に対する世論は大きく悪化している。産経新聞とFNNの調査によれば、レーダー照射問題について韓国側の説明に納得できない、と答えた人の割合は90.8%に上っており、日本国民の大多数がこの問題に対して韓国への批判を強めている事がわかる。同じ世論調査では、徴用工問題でも、「相応の対抗措置」を求める人が76.8%に達しており、一連の出来事以降、日本の世論は韓国への強硬一本やりと言って良い状況になっている。
勿論、今日の日韓関係を見れば、人々がこれに不満を高めるのは当然であろう。しかし、同時に考えなければならない事がある。それは中長期的な観点から見て、この状況をどうしていくべきか、という事である。
この点については幾つか考えなければならない事がある。最初に重要なのは、まずは日韓両国の共通の同盟相手であるアメリカとの関係である。軍事的或いは経済的に中国との対抗関係にあるアメリカにとって、自らの同盟国である日韓両国が互いにいがみ合う状態は決して望ましいものではない。2015年には慰安婦問題で対立する日韓両国へ、当時のオバマ政権からの強い圧力がかけられた結果、慰安婦合意へと至ったと言われており、事態がこれ以上悪化すれば、同様のアメリカからの介入が起こらないとも限らない。
とはいえここでも次の様な意見があるかもしれない。つまり、「問題を大きくしているのは韓国側であり、だからこそアメリカから圧力がかけられるとしてもそれは韓国側に対してだけになるだろう」と言うのである。だが、状況はそれほど単純なものではない。対中接近政策でオバマ政権の不評を買った朴槿恵政権と異なり、文在寅政権は対北朝鮮交渉を巡ってトランプ政権との連携を強めている。事実、第一回の米朝首脳会談に至る過程で見られた様に、アメリカ、より正確にはトランプ大統領にとって北朝鮮との交渉が重要である限り、米朝の仲介者としての韓国は存在感を発揮する事ができる。そして韓国がトランプ政権にとって重要である限り、彼らは自らへの圧力をある程度回避する事ができる。
韓国・尹錫悦大統領に迫る静かなる危機と、それを裏付ける「レームダック指数」とは 2024.11.13
「ハト派の石破新首相」という韓国の大いなる幻想 2024.10.16
全斗煥クーデターを描いた『ソウルの春』ヒットと、独裁が「歴史」になった韓国の変化 2024.09.10
「ディオール疑惑」尹大統領夫人の聴取と、韓国検察の暗闘 2024.08.06
韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳 2024.07.03
「出生率0.72」韓国の人口政策に(まだ)勝算あり 2024.06.05
総選挙大勝、それでも韓国進歩派に走る深い断層線 2024.05.08