もしも韓国が仮想敵国だったら?
そして更に重要な事がある。それは中長期的な観点から、日本が韓国や日韓関係をどの様に位置付けていくか、という事である。この点において見落とされてはならないのは、韓国が一定以上の国力を有している事である。韓国の2017年現在でのGDPは世界12位。その規模はロシアとほぼ同じになっている。韓国の「大きさ」は軍事面ではより顕著になる。ストックホルム国際平和研究所が毎年公表しているデータによれば、現在の韓国の軍事費は世界第10位。その規模はブラジルやオーストラリア、更にはカナダをも上回っている。上位の国家と比べてもその金額は、8位の日本の86%、9位のドイツの88%に達している。韓国の軍事費は毎年日本を上回るペースで増加しており、このペースが進めば、近い将来の軍事費面における日韓逆転も視野に入ってくる。
そしてこの事は日本の安全保障に大きな意味を持っている。例えば、仮に我が国が、韓国を仮想敵国の一つとして想定するなら、韓国海軍主力である第一艦隊および第七機動戦団に備える為に、海上自衛隊は一定以上の兵力を日本海に配置しなければならなくなる。当然その事は、結果として例えば東シナ海における中国や、オホーツク海におけるロシアへの備えに影響を与える。韓国そのものの脅威以上に、韓国への備えが割かれる事で、日本を巡る安全保障環境が大きく変化する事が重要なのだ。
だからこそ考えなければならないのは、変わりつつある日韓関係を前提に我が国が韓国を含めて周辺諸国との関係をどう再構築していくかである。文在寅政権下の状況を見ても明らかな様に、「大きくなった韓国」をして彼らの考え方を変えさせる事は難しい。継続する中国の経済的軍事的拡大、そして予想外のペースで進む米朝の対話。変わり行く北東アジアの国際関係の中で日韓関係を改めて位置づけ直す事が必要になっている。
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