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コロナ支援策の恩恵はなぜか富裕層に
1年前、識者らは住宅市場の崩壊を予想していた。だがそれどころか、不動産価格は今や7.5%上昇している(だから理論上、僕のような「一般的な住宅所有者」は2万ポンドも資産価値が上がった)。
政府の印紙税「特例」(不動産購入時にかかる印紙税が不要、減額になる)がこれを助長した。住宅市場への打撃を防ぐためのものだったが、実際には、より高い家に住み替える富裕層が続出しているにもかかわらず、政府が喉から手が出るほど欲している税収は得られない、という羽目になってしまった。富裕層にとっては立派な住宅にかかる税金1万5000ポンドを逃れるまたとないチャンスだ。
これら全ての背景にあるのは、コロナ禍前に発表され2019年に施行された所得税減税だった。ほぼ全ての勤労者が減税の対象になったが、最も得したのは所得5万ポンド超の人々で、年間800ポンド以上の収入増に相当した(平均的な収入の人に比べて約3倍の減税)。
このばら色の光景はほとんどのイギリス人には縁がなく気分が悪いものだが、南東部地域ではここに挙げたような大盤振る舞いの組み合わせで多くの家庭が恩恵を受けている。南東部は人々の所得も不動産価格も最高で、通勤時間も最長の地域だ。
イギリスは既に、持つ者と持たざる者の格差が大きく開いている。不謹慎を承知で言うなら、イギリスの富裕な地域に住む多くの裕福な人々にとっては、これは「好都合な危機」なのだ。
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